政策研究院は、戦略的かつraising issuesを重視した政策研究の推進と高度な政策研修の開発と実践により、立法府、行政府、民間等をとり結ぶポリシー・コミュニティの形成と政策のイノベーションを促進し、もって国の内外の民主的統治の強化に資するため、2013年度に政策研究大学院大学(GRIPS)に創設された機関です。GRIPSが教育研究機関としての役割、すなわち国内外の現役の行政官等におけるレベルアップを目的とした教育を重視しているのに対し、政策研究院は研究機関としての性格を強くもっており、そこではリアルタイムで生じる諸問題や既存の枠組みにおいては解決が難しい課題への対応を重視し、より実践的で高度な政策研究を進めることを目的としています。
政策研究院が機能するためには、GRIPSの教育等を通じて育成される人材とそこから形成され得るポリシー・コミュニティが前提となっており、その意味でGRIPSとの協力体制は堅持しつつ、政策研究院は独自の活動を展開しています。
● 政・官のinterministerialでintersectionalな政策工房(studio)となる
● 既存の方法および発想に追随するのではなく、新たな視点からのイシューを抽出し問題提起する(raising issues)ことを重視する
● 単独の省庁で扱うことが困難な政策課題について、専門的知見にもとづく議論の場を提供する
● Academic freedomを尊重する
● 省庁を超えた研修活動を実施する
上記ミッションをふまえると、政策研究院の今日的な意義は次のとおりといえるでしょう。
① 既存の体制・発想(conventional wisdom)から内発的にはなかなか出てこない政策や戦略について、ステーツマン、行政官、民間の関係者を交えて連携し、創造的観念に立脚して研究を進められる。
② 政府における幹部職員任用のあり方が政治主導で見直されるなか、時宜に適った最適な人材を育成する。
③ 省庁や立場を超え、日本を中心にアジア(ASEAN)・米州・欧州間の国際的政策対話および連携を可能にする。
次に政策研究院の組織について説明します。
政策研究院はGRIPS内部に設置されていますが、冒頭に述べたように、その役割の特殊性から、実際はGRIPSと併置する機関として機能しています。これにより、政策研究院が進めるプロジェクトにたいして各省庁および関係諸機関の参画をうながし、全体として多元的で有機的なつながりをもった緩やかな組織を構成することを目指しています。これが英語名のALLIANCEに象徴される部分であり、GRIPSとの関係もそのように規定されています。
政策研究院の基本的な運営方針は、毎月おこなわれる政策研究院参議会において話し合われます。そこでの決定にもとづき、必要とされる場合は各研究会や小規模な部会を組織して、各省庁や関係諸機関、またGRIPSの教員も巻き込んで研究プロジェクトを進めています。
参議 (2024年7月1日現在)
石田 寛人 | 公益財団法人本田財団 理事長 |
遠藤 安彦 | 一般財団法人地域創造 顧問 |
佐藤 禎一 | 東京国立博物館 名誉館長 |
髙木 勇樹 | NPO法人日本プロ農業総合支援機構 理事長 |
竹歳 誠 | 三菱地所株式会社 顧問 |
丹呉 泰健 | 日本たばこ産業株式会社 社友 |
辻 哲夫 | 東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター 客員研究員 |
渡辺 修 | 石油資源開発株式会社 特別顧問 |
研究成果
研究会報告書
報告:科学技術政策研究プラットフォーム検討会 2022年3月(PDF:831KB)
報告概要:将来世代のための農村地域における土地制度のあり方に関する研究会 2022年2月(PDF:595KB)
報告:将来世代のための農村地域における土地制度のあり方に関する研究会 2022年2月(PDF:9280KB)
最終報告概要:人口減少・少子高齢化社会における政策課題に関する研究会 2021年12月(PDF360KB)
中間報告:将来世代のための農村地域における土地制度のあり方に関する研究会 2021年9月(PDF:2098KB)
第2回中間報告:人口減少・少子高齢化社会における政策課題に関する研究会 2021年6月(PDF:6058KB)
報告:アジア研究報告Ⅰ 21世紀のアジア経済をどう捉えるか:アジア・ダイナミズ ム再考 原洋之介 2021年1月(PDF:1140KB)
報告:アジア研究報告Ⅱ 日本経済の150年 原洋之介 2021年1月(PDF:1310KB)
報告:アジア研究報告Ⅲ 東南アジア経済の50年 原洋之介 2021年1月(PDF:1460KB)
報告:アジア研究報告Ⅳ 中国経済の50年 原洋之介 2021年1月(PDF:761KB)
報告:アジア研究報告Ⅴ インド経済の70年 原洋之介 2021年1月(PDF:1300KB)
報告:アジア研究報告資料編Ⅰ:アジア諸国の比較優位分析(NER) 2021年1月(PDF:914KB)
報告:アジア研究報告資料編Ⅱ:アジア諸国の比較優位分析(RTA,RCA,RCDA) 2021 年1月(PDF:958KB)
第1回中間報告:人口減少・少子高齢化社会における政策課題に関する研究会 2021年1月(PDF:665KB)
中間報告:国際秩序の変革期における通商政策研究会 2020年11月(PDF:202KB)
政策分析の焦点
日中韓FTA の経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2024年6月(PDF:216KB)
米国の関税引上げの経済的影響 川﨑研一 政策研究院教授 2024年5月(PDF:264KB)
貿易の自由化と攪乱が輸入構造に与える影響 川﨑研一 政策研究院教授 2024年4月(PDF:912KB)
インドのCPTPP参加の潜在的な経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2024年4月(PDF:268KB)
非関税措置削減の波及効果 川﨑研一 政策研究院教授 2024年1月(PDF:344KB)
米国と中国のCPTPP参加の経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2023年10月(PDF:255KB)
東アジアにおけるカーボンプライシングの効果 川﨑研一 政策研究院教授 2023年4月(PDF:305KB)
カーボンプライシングのEU加盟国への影響 川﨑研一 政策研究院教授 2023年4月(PDF:362KB)
カーボンプライシングの経済貿易への影響 川﨑研一 政策研究院教授 2023年4月(PDF:367KB)
アジア太平洋貿易自由化の経済効果 川崎研一 政策研究院教授 2022年9月(PDF:298KB)
ロシアへの貿易制裁の影響 川﨑研一 政策研究院教授 2022年5月(PDF:191KB)
RCEP関税削減の経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2021年12月(PDF:218KB)
更なる関税削減の経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2021年6月(PDF:643KB)
米中対立下のWTO改革の本質について 西脇修 政策研究院参与 2020年12月(PDF:545KB)
貿易協定の進展と経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2020年10月(PDF:734KB)
新型コロナウイルス感染症の経済的影響の概観 川﨑研一 政策研究院教授 2020年7月(PDF:671KB)
WTOの危機:「上級委員会問題」の本質と解決の方向性について 西脇修 政策研究院参与 2019年12月(PDF: 436KB)
ボゴール目標達成の暫定的なレビュー 川﨑研一 政策研究院教授 2019年10月(PDF: 217KB)
日本とEU のEPA の経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2019年6月(PDF: 430KB)
TPP11を超えるEPAの経済効果 川﨑研一 政策研究院教授 2018年10月(PDF: 216KB)
米国の関税賦課の経済的影響 川﨑研一 政策研究院教授 2018年6月(PDF: 565KB)
研究会の進捗状況
その他
【篠田邦彦参与】
日本国際問題研究所のAJISS-Commentaryに論考"Japan's Policy toward Materializing Cooperation with the Global South ~Realizing the Rule of Law, Resolving Global Issues and Strengthening Connectivity~"が掲載されました。(2023/8/4)
【徳地秀士シニア・フェロー】
インドのシンクタンク"Organization for Research on China and Asia (ORCA) に論考"THE SENKAKU ISSUE AND REGIONAL SECURITY"が掲載されました。(2024/1/9)
The European誌、第48巻(pp.26-27)に論考"Japan as a more reliable security partnership in this connected world"が掲載されました。(2023/9)
台湾 遠景基金會のウェブサイトに論考"Japan's 2024 Defense Budget Request and Future Prospects"が掲載されました。(2023/9/14)
Korean On Pointのウェブサイトに論考"Expectations to the Camp David Trilateral Summit Meeting - A Japanese View"が掲載されました。(2023/8/14)
展望與探索(Prospect&Exploration)誌の第21卷 第7期(pp.62-74)に論考"Impact of Russian Invasion of Ukraine on East Asian Security"を寄稿しました。(2023/7)