同窓会

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ALMO 2017.8

 

Takada01高田浩幸

 

所長

JICAルワンダ事務所

国内プログラム (1997年修了)

 

 

 

 

 

 

高田さんのこれまでのキャリアの道を教えてください。

専門分野とその分野に従事するに至った経緯は何でしょうか?

    大学卒業後、青年海外協力隊員としてアフリカのザンビアで農村開発に携わったことをきっかけに国際協力、アフリカ開発支援を志すことになりました。ザンビアから帰国後、GSPSに入学し国際開発に関する専門的知識の向上に努めました。また1年次修了後、2年間休学してインドネシアで青年海外協力隊のプロジェクトに従事し、修士論文もインドネシアの村落開発プロジェクトに関する研究でした。大学院卒業と同時にJICAに就職し、以来20年間、農業農村開発、アフリカ開発支援を中心に現在に至ります。

 

 

現在JICAルワンダ事務所の所長をされております。主な任務や職務についてお聞かせください。

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キガリ市で開催されたAU総会会場となったキガリ国際会議場をバックに(2016年7月)。

   ルワンダに対してJICAは四つの重点分野①経済インフラ、②水・衛生、③農業、④教育に対して円借款、無償資金協力、技術協力プロジェクト、研修、ボランティア、民間連携などを通じて支援を行っており、これら事業の総括、及びJICAルワンダ事務所運営の総括を行っています。併せて隣国のブルンジにおける事業、及び現地事務所運営の総括も行っています。

 

現在の立場から見て、ルワンダの今後5〜10年の間の主な発展、また課題についてどのように考えますか?

   1994年に発生し国民の約1割にあたる100万人近くが虐殺にあった惨劇から23年が経過し、その悲劇を教訓に国民融和、政治的安定を基盤に知識集約型経済を標榜して人材育成に力を入れて順調な経済発展をルワンダは続けています。しかしながら主要な港湾であるケニアのモンバサやタンザニアのダルエスサラームから輸入する燃料や物資は高コストにならざるを得ず、さらなる経済発展の足かせになっていると考えます。ルワンダ政府は内陸国の不利益を受けない観光業やMICEなどを推進するためルワンダ航空の路線拡大、ホテル誘致などを積極的に進めています。またアフリカ諸国のなかでも際立っている治安の良さなどを売り物に、サービスセクターを中心にした発展が期待されますが、そこに従事する人材の育成やサービスの質の向上が今後の課題だと考えます。

 

高田さんがこれまで従事された仕事の中で直面した最大の挑戦や課題は何ですか? また、これまでのキャリアの中で最も興味深い、あるいはやりがいを感じたことを教えてください

初めてアフリカで開催されたTICAD VIの会場にて(ケニア、ナイロビ)ー 2016年8月

   トルコ事務所赴任中に担当したボスポラス海峡の下を通る海底トンネル地下鉄を建設する円借款事業において、トルコ政府側の求める工期までに安全に事故なく事業を進めるためにトルコ政府、日本の施工業者などと協議したことが最大の挑戦だったと思います。トルコから帰国後、地下鉄の完成式典で安倍首相と当時のエルドアン首相が一緒に一番列車に乗車されたニュースを見たときには感無量の思いがしました。

 

   幼少のころ母の郷里の福島県猪苗代にある野口英世の生家を訪れたことが、自分の人生のキャリアの原点ではないかと最近感じることがあります。野口英世の時代から80年以上がたちましたが、まだまだアフリカは支援が必要だと思います。そうしたアフリカに日本の若い世代、青年海外協力隊員が再びアフリカに戻って活動したいと志を高く持ってくれる時、時代を超えて国際協力という仕事が引き継がれることを実感することができ、私自身も励まされる思いがします。

 

GRIPSで学ぶことになった経緯を教えて下さい。また、GRIPSにおいて学んだことの中で最も重要なものは何ですか?GRIPSでの経験は将来に向けてどのように役立つと思いますか?

   青年海外協力隊員としてザンビアの農村開発に携わる中で、開発支援に取り組むには社会的側面のみならず国際社会や政治経済など幅広い専門的知識が求められること、また日本人として開発支援に取り組むにあたって日本自身の発展の経験を学ぶことが重要と感じました。

 

  社会や国の発展を考えるうえで、歴史という時間軸と国際関係という空間軸のなかで各々の開発課題を相対的に捉えることを様々な分野の講義や各国からの留学生との学内外での交流等を通じて学んだことが、その後のキャリアに役立っていると思います。

 

GRIPS/GSPSでの一番の思い出は何でしょうか?

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道路整備にかかる円借款事業の合意書署名式の様子。ルワンダ財務大臣と伴に(2016年7月)。

   深夜遅くまでPCルームで留学生と一緒に統計データ処理などに取り組んだり、課外活動として留学生と一緒にスキー旅行に行ったことなど、国内の大学院にありながら各国の留学生と交流を深められたことが一番の思い出です。

 

日本を懐かしく思うことはありますか、またルワンダでの生活はいかがですか?

   大学卒業から海外と日本の生活を交互に繰り返しているので、今では日本のことを懐かしく思うことは少なくなっています。また最初の青年海外協力隊としてアフリカに赴任した当時に比べるとインターネットなどを通じて日本の情報がリアルタイムで入手できるので、時差を感じる以外は日本への郷愁は少ないと思います。ただ内陸国なので新鮮な海産物などの入手は困難だったり、日本食を懐かしく思うことはあります。

   ルワンダに小学生の子どもと一緒に家族随伴で赴任していますが、治安が良いこともあって安心して暮らすことができます。日本のように何でも安く購入することはできませんが、1年を通して穏やかな気候でエアコンが不要なのでとても過ごしやすいところです。

 

仕事とプライベートのバランスはどのように維持していますか?プライベートではどのように過ごすことが好きですか?

   日本と違って通勤時間が短いので朝食、夕食は自宅で家族と一緒に子どもの学校の様子などを聞きながら取るようにしています。週末は家族とスポーツをしたり買い物に出かけたり、可能な限り家族との時間を大切にワークライフバランスに心がけています。そうした家族と過ごす時間がなにより好きです。

 

今後どのようにGRIPSとの関係を維持していきたいですか?

GRIPSの修了生ネットワークをより一層活用していくために、何かご意見はありますか?

   開発協力に携わっている立場から、今後はこれまで以上にGRIPSとの関係を個人的にも維持、強化できればと考えています。

 

   これまでは残念ながら修了生ネットワークを十分に活用できていませんでした。ネットワークの強化には修了生のフォローアップと情報のアップデート、修了生間での情報の共有が不可欠と思います。個人情報保護で難しいところもあると思いますが、一緒に学んだ同期生が今どのような仕事をされているかはお互いに気になるのではないかと思います。

 

 

 

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