同窓会

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ALMO 2013.7

Myo01Aye Thidar Myo (ミャンマー)

ASEANミャンマー連邦共和国政府代表部(ジャカルタ) 一等書記官

Young Leaders Program ( 2010年修了 )

 

 

 

 

 

 

 

現在、ASEAN ミャンマー連邦共和国政府代表部(ジャカルタ)一等書記官を務める。1997年にキャリア組外交官として外務省に入省、その後政治課、国際機関・経済課において様々な役職に就任。2005年から2008年まではニューヨークの国際連合ミャンマー政府代表部に派遣される。ミャンマーのヤンゴン大学で化学の学士号(優等学位)を、GRIPSでPublic Administrationの修士号を取得。

 

 

多様な経験を通し多国間外交担当官としての志を醸成

-外務省でのご経験について、ご専門やその分野に従事するに至った経緯を教えてください。

 1997年にヤンゴン大学を卒業してすぐに、私は外交官としてミャンマーの外務省で働き始めました。以来ずっと、多国間および地域問題を担当しています。私は始めASEANのデスクアシスタントとして政治課に配属され、その一年後に国際機関・経済課に異動しました。また、外務省で働いた最初の数年間に、ニュージーランドでの英語コース等いくつかの研修に参加しました。

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国連総会への代表団(’11)

私がASEANデスクで働き始めた当初、ミャンマーはASEANへの加盟プロセスの最終段階にありました。その頃私は若手職員で多国間外交の知識もあまりなかったのですが、この時の経験が「多国間外交を扱う外交官になりたい」という気持ちを抱くきっかけになりました。そしてこの気持ちがさらに高まったのが、2005年にニューヨークの国際連合ミャンマー政府代表部に配属された時でした。私が国連のミャンマー政府代表部で働いた2005年から2008年の間は、国際社会におけるミャンマーの波乱の時だったと言えます。

私は2009年から2010年までGRIPSに在籍し、2012年1月より現在までASEANミャンマー連邦共和国政府代表部の一等書記官として働いています。これまでのキャリアの中で私が経験してきたことは、多国間協調主義の正と負の側面の両方を表していると思います。例えば、国際機関を特定の政治目的のために利用しようとする動きがあることが綿密な分析からわかったことは、負の側面と言えます。しかし、「原則に立つ」という構えのある国家があることもわかり、これは正の側面です。

 

 

人権問題のデスク担当官として人身売買被害者の本国送還を担当

2008年にニューヨークでの任務を終えてミャンマーに帰国したあと、私は国際機関・経済課に配属されました。この時、社会・人道・文化委員会とも呼ばれる国連総会第三委員会のデスク担当官として、「ミャンマー国軍への少年兵入隊阻止のための行動計画」の起草と、ミャンマー人権委員会の構想に携わりました。また、ASEAN政府間人権委員会の取り決め書の作成過程においても、ミャンマーの高官代表者をサポートしました。

 

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人身取引対策のためのミャンマー・中国国境連絡事務所の設立時 (’09)

私は人権問題や人道問題のデスク担当官として、国境エリアでの人身売買を撲滅するためのミャンマーと中国の二国間努力にも参加する機会を得、主に人身売買被害者の本国への送還を担当しました。この時の経験は時には喜びやある種の温かさがともなうこともありましたが、人身売買被害者の心的外傷を目の当たりにするのは非常につらいことでした。人身売買は何百万という罪のない被害者の人生を犠牲にする巨額のビジネスです。21世紀にはびこっているこの犯罪を、私たちは決して22世紀に持ち越してはなりません。

 

 

 

 

 

ASEAN流コミュニケーションの中で試される外交官としての手腕

-現在、ASEANミャンマー連邦共和国政府代表部一等書記官として勤務されています。所属先について、またご自身の任務について教えてください。

ASEANの設立当初からの創始者たちの夢は、東南アジアの人々を代表する、ルールに基づく組織を作ることでした。そしてこの夢は、2007年、シンガポールにおいて10の加盟国がASEAN憲章に調印した第13回ASEAN首脳会議において実現しました。ASEAN憲章の中で定められた規定に従って、10の加盟国それぞれの政府代表部が設立されました。さらに、この各加盟国の政府代表部が指名した常任代表によって、ASEAN常任代表委員会(CPR)が構成されています。私たちは常任代表委員会作業部会(CPRWG)と呼ばれるサポートグループに属し、CPRの初期業務のすべてを任されています。

CPRとCPRWGは、ASEANのコミュニティー形成、対話パートナーや開発パートナーとの関係づくり、ASEAN事務局の運営監督、ASEAN外相会議およびASEAN首脳会議のサポートを行います。私はCPRWGのメンバーとして、会議を重ねながら組織の運営と連携に日々取り組んでいます。

さらに、私は現在、2014年に予定されているミャンマーのASEAN議長国就任の準備にも携わっています。非常に大きな責任とプレッシャーを感じていますが、ミャンマーがこの大役を成功のうちに全うできると信じています。

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東京国際交流会館でのクッキングパーティー (’10)

 

-職務で直面している課題はなんですか?

人生に試練はつきものです。現在の仕事において私が乗り越えなければならない試練は、地域関連の仕事と多国間の仕事の性質の違いです。私は、ニューヨークで国連外交官として働いていた時のグローバルな職場環境よりも、ASEAN地域のコミュニケーション文化を理解することの方が難しいと感じています。「ASEAN流」とも言えるやり方は、ASEAN外交官にとっても加盟国にとっても興味深いと同時に非常に難しいものです。どのような問題も合意に達するには時間がかかりますし、骨の折れる交渉を経なければなりません。

 

「最前線で働いている」という実感が、一番のやりがい。

-これまでのキャリアで一番興味深かったことまたやりがいを感じたことは何ですか。

私のキャリアにおいて最も興味深かったのは、ニューヨークの国連ミャンマー政府代表部に勤務したことです。この経験をきっかけに、私は世界規模の問題に目を向けるようになりました。国連は、まるで大学にいるかのように毎日新しい知識を学ぶことができる場所だと思います。また、最もやりがいを感じたのは、自分の母国や所属する地域機構が苦境にある中で、「自分は最前線に立って働いているのだ」と実感できた時です。

 

ミャンマーにおける自由と民主主義の実現を目指して。

-ミャンマーは昨今大きく変わろうとしています。現在の立場から見てミャンマーの今後5年、10年先の主な挑戦や課題についてどう考えますか?

未来の話をする前に、この10年間あるいはそれよりももっと長い間私が心の底から願ってきたことをお話しさせて下さい。単刀直入に言うと、私はミャンマーが人権と民主主義の輝かしい手本となること、そして外部からの圧力や介入を受けることなく自国の将来を決めることのできる普通の国になることを心から望んでいました。  

現在、ミャンマーは包括的で公正な真の民主主義的国家へと変貌を遂げようとしています。ミャンマーの人々は何十年もの間、自由と民主主義を切望し続けてきました。その願いがついに現実となった今、賢く、責任を持ってこの機会を用いることが私たちにとって最大の課題です。また、もうひとつの課題は国内の和解を通して国の結束力を高めることです。

 

幅広い知識を持つ人々と共に学び、意見を交わすことができるGRIPS

-GRIPSで学ぶことになった経緯を教えて下さい。また、GRIPSにおいて学んだことの中で最も重要なものは何ですか?GRIPSでの経験は将来に向けてどのように役立つと思いますか?

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GRIPSの仲間や友人たちとのバーベキューの思い出。東京国際交流間にて(’10)

国際関係に関する知識は外交官にとって不可欠です。私は多国間外交の実務的な知識はありましたが、この分野で他の同僚たちと同等に仕事をするにはさらに視野を広げる必要がありました。そのため、私は国際関係の分野で幅広い知識を持つ人々と共に学び、意見を交わす時間を持ちたいと常々考えていました。これが、私がGRIPSで学ぶことになった一番のきっかけです。

GRIPSで得た経験はかけがえのないものです。修士課程1年プログラムはとてもインテンシブで、修了要件を満たすために多くの単位を取得しなければなりません。したがって、決断力、自信、ひたむきな努力、そして目標を達成したいという強い意志が必要です。GRIPSで学んだ知識に加えこれらのもの全てが、将来に向けたしっかりとした基礎を築く上で、とても重要な要素となっています。

 

-ミャンマーを懐かしく思うことはありますか、またジャカルタでの生活はいかがですか?

ミャンマーは私の母国ですから、いつどんな時でも、どこにいようとも、ミャンマーは私と共にいます。誰もこの母国を私から取り上げることはできません。ひどいホームシックに陥ることはありませんが、霧深い朝の丘に建つシュエダゴン・パゴダの記憶は、永遠に私の心の中にあり続けることでしょう。

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ヤンゴンのシュエダゴン・パゴダ

ミャンマーから離れる時はいつも、シュエダゴン・パゴダを恋しく思います。それは宗教的な理由からだけではなく、シュエダゴン・パゴダが平和、強さ、信念と勇気のシンボルだからです。そして何よりもシュエダゴン・パゴダは、母国の人々の歴史と偉業を象徴しているのです。

インドネシアでの生活は素晴らしいの一言につきます。ジャカルタなど訪れずにはいられない場所がたくさんありますし、熱帯の果物や花々、そしてこの国の正直で謙虚で驚くほど忍耐強い人々が私は大好きです。

 

 

仕事を通してASEAN各国のGRIPS同窓生と再会

-GRIPSの修了生ネットワークをより一層活用していくために、何かご意見はありますか。

GRIPSの修了生ネットワークはしっかりと確立されており、評価も高いと思います。GRIPSの修了生や現役の学生と知り合うことができるのは喜ばしいことだと常に感じています。

この修了生ネットワークを通して、GRIPSでの勉強や生活はどのようなものなのか、また、そこでの経験が将来的にどのように役立つのかを、GRIPSで学ぶことを検討している人たちに伝えることができるのではないでしょうか。さらに、このネットワークはそれぞれの考えや意見を共有できる場所でもあります。そして何よりも、同窓会ネットワークは、世界各国で未来のリーダーになり得る人たちに自分の国について知ってもらうチャンスを提供してくれる場です。

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GRIPSのYLP同窓生との楽しい再会のひととき。ジャカルタにて。(’12)

現在、私に加え、3人のYoung Leaders Program修了生がジャカルタのASEAN政府代表部で働いています(中国のMr. Zhou Lei (‘10)、カンボジアのMr. Heng Sarith (‘10)と Mr. Hok Sopheap (‘07) )。この再会は私たちにとって非常に大きいものであり、忙しいスケジュールの合間をぬって、楽しい時間を共に過ごしています。

 

GRIPSへの入学を考えている皆さんに一言アドバイスをお願いします。

このチャンスをしっかりとつかみ、経験豊かな研究者たちの世界に触れ、留学生や日本人学生の友達を作って下さい。そして何よりも、日本という美しくユニークな国での学生生活を思う存分楽しんで下さい。

 

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