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2017.1.30
平成29年度フィリピン国立大学等学長向け研修を実施しました
2017年1月22日(日)から1月28日(土)の一週間、フィリピンの国立大学等の現役の学長15名が来日し、JICA-GRIPSの主催する訪 日研修プログラムに参加しました。今回の訪日プログラムは、フィリピン高等教育委員会(CHED)とフィリピン開発アカデミー(DAP)が主催している 「学長リーダーシッププログラム」(PLP)の一部ですが、CHEDとDAPの要請に応じる形で、来日プログラムについてはLEADING Asiaプロジェクトの一環としてJICA-GRIPSにて開催しました。
今回の来日プログラムでは、日本の大学における作業人材育成および産学連携の事例の研修やリーダーシップ能力の向上などを主な狙いとしています。そのために以下の3つのコンポーネントを組み合わせたプログラムとしました:
① 理論面、特に知識創造理論とリーダーシップ論についての講義・討議
② 日本の大学視察
③ 日本の大学の学長とのダイアローグ
LEADING Asiaプロジェクトは野中郁次郎一橋大学名誉教授の知識創造理論を理論的バックグラウンドとしており、今回のプログラムでも知識創造理論や「賢慮のリーダーシップ論」などについて理論面での講義・討議の機会を持ちました。
遠山亮子中央大学大学院戦略経営研究科教授から知識創造理論と賢慮のリーダーシップ論について、梅本勝博北陸先端科学技術大学院大学名誉教授からは、大学での知識経営についてそれぞれ講義をしていただきました。
遠山教授による講義 梅本教授による講義
参加者は非常に積極的に講義・討議に参加し、講義の途中でも講義が何度か中断されるほど活発な質疑応答・討議が行われていました。
大学の視察では、GRIPSの他、豊橋技術科学大学(愛知県豊橋市)とものつくり大学(埼玉県行田市)の2校を訪問しました。
豊橋技術科学大学にて
豊橋技術科学大学は国立大学ですが、工業高等専門学校(高専)からの卒業生を多数受け入ており、理論と実習の双方に力を入れた教育を行っています。
豊橋技術科学大学 エレクトロニクス先端融合研究所にて
産業界や実務と密接に関連した設備や研究・教育活動の事例など、参加者には大変印象的だったようです。
ものつくり大学は私立大学ですが、産業界からの強力なバックアップで設立された大学です。
ものつくり大学にて
実務や実習などを重視した教育に特徴があります。学内の様々な場所には、学生が実習で製作した作品や木造家屋、コンクリート製の構造物などが設置されており、参加者にも大学の特徴が実感されたようでした。
ものつくり大学構内見学の様子
大学の視察においては、豊橋技術科学大学では大西隆学長と、ものつくり大学では赤松明学長と、それぞれダイアローグを行いました。
豊橋技術科学大学 大西学長との会談 ものつくり大学 赤松学長との会談
GRIPSにおいても白石隆学長とダイアローグを行いました。
GRIPS白石学長との会談
実際に大学を訪問し、学長と直接対話することにより、日本の大学の現状が極めて具体的に体感として理解されたようです。
最終日にはGRIPSにて修了証授与式をおこないましたが、フィリピン大使館からはエドアルド・メネス代理大使に、またDAPからは、丁度出張で東京に滞在中であったアントニオ・カロウ総裁に列席していただくことができました。
GRIPSの横道副学長から(CHEDとDAPからの参加者も含め)研修団一人一人に修了証が手渡され、一週間の研修プログラムは無事終了しました。
※本文中に使用されている略称(英語)の正式な表記は以下の通りです。
CHED: Commission on Higher Education
DAP: Development Academy of the Philippines
PLP: Presidential Leadership Program
LEADING Asia: Leadership Enhancement & Administrative Development for Innovative Governance in Asia