昨年9月から本年5月まで、本学で発生しておりました情報セキュリティインシデントにつきましては、多大なご迷惑をおかけし、心からお詫び申し上げます。

　この度、インシデントからの復旧にご尽力いただいた学外の専門家の方々に、「政策研究大学院大学の情報システムに対する不正アクセスの調査報告書」をおまとめいただきましたので公表いたします。

　本インシデントは2022年8月29日に発生したもので、これに対して本学はネットワークを遮断した上で、徹底的な調査、復旧作業を実施し、2023年5月8日にはインターネットサービスの利用も再開いたしました。インターネットサービス利用再開までの間は別回線によるインターネット接続を確保し、電子メール等のクラウドサービスの利用や、オンライン授業、オンライン会議等の教育研究活動が実施可能な環境を整備し、一部制約はあるものの業務を実施してまいりました。

　また、復旧作業にあたっては、文部科学省、個人情報保護委員会、警察など、関係各所と適切に連携を取って対応してまいりました。

　なお、今回のインシデントにおいて、個人情報漏えいやランサムウェアによる被害は確認されませんでした。また、今回のインシデントにおいては、攻撃者にネットワーク構成が把握されたこと、情報システムに脆弱性が発見されたことから、十分なセキュリティを確保するために組織的な対策と技術的な対策（具体的な対策は報告書の第10章をご確認ください）をとったうえでネットワーク通信を再開しました。

　本学としましては、本報告書を真摯に受け止め、再発防止に尽力して参ります。なお、報告書をおまとめくださった学外の専門家（アドバイザリーボード）は以下の方々です。

 

政策研究大学院大学　セキュリティアドバイザー　　　　　　　

　　　松浦 知史（東京工業大学 学術国際情報センター 教授）

政策研究大学院大学　セキュリティアドバイザー　　　　　　　

　　　中村 豊（九州工業大学 情報基盤センター 教授）　　　

政策研究大学院大学　情報セキュリティ総括責任者（CISO）補佐

　　　　川口 洋（株式会社川口設計 代表取締役）　　　　　　　

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〇報告書全文についてはこちら

〇政策研究大学院大学学長からのお詫び

 

【報告書概要】

 

1. 発生状況

　2022年8月29日にシステム担当職員が学内サーバに不審なログを発見し、執行部に報告し、緊急対応措置としてウェブサーバを停止した。その後もセキュリティ・オペレーション・センター（Security Operation Center: SOC）から不審なアクセス検知の報告があったため、情報セキュリティ総括責任者（Chief Information Security Officer: CISO)及びシー・サート（Computer Security Incident Response Team: CSIRT）の判断により、9月3日に本学のインターネット接続をファイアウォールにて遮断した。そのうえで、学長をトップとする緊急対策本部を設置し、対応の検討を開始した。

 

2. 被害状況

　セキュリティ専門会社による調査の結果、攻撃者がウェブシェルを操作し、大学のサーバ10台と端末2台が侵害を受け、大学内の全ユーザのIDとパスワードと、本学のネットワーク構成がスキャンされ、システム構成が攻撃者に把握されたと判断した。なお、攻撃者の特定には至らなかった。

　一方、アドバイザリーボードと大学との間で調査方針を検討・決定した内部調査の結果、ファイルサーバの監査ログは、すべてユーザの通常の業務利用によるものであるという判断に至った。そのため、ファイルサーバに格納された機密性の高い情報や個人情報が漏えいした可能性はないと判断し、個人情報保護委員会に報告した。

 

3. 被害を発生させた主な要因と再発防止策

　被害を発生させた主な要因は、情報システム担当者の不足、システム運用やセキュリティ運用を行う仕組みの欠如といった組織的な要因に加え、システム上の脆弱性管理やファイアウォールなどのセキュリティ機器の活用が十分にできていなかったなどの技術的な要因が挙げられる。それらに対する主な再発防止策としては情報システム担当チームの強化や脆弱性管理の仕組みの構築、セキュリティ機器の運用管理の徹底など組織的・技術的な対策による再発防止策を講ずるべきである。

 

 

 

【問い合わせ窓口】

組織マネジメント課広報担当

kouhougrips.ac.jp