同窓会

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ALMO 2023.05

 

中島隆雄

 

海上自衛隊 1等海佐

在大韓民国日本国大使館

防衛駐在官


戦略研究プログラム 2019年修了

 

 

 

 

 

 

ご自身のこれまでのキャリアについて教えてください。専門分野は何ですか?またその分野に至った経緯は?

2002年に防衛大学を卒業した後、海上自衛隊に配属されました。キャリアの半分は潜水艦幹部として過ごし、2017年から2018年までの1年間は潜水艦うずしお(SS-592)の艦長を務めました。2015年に大韓民国国防大学で学び、数多くの韓国の軍人の方や留学生の方たちと素晴らしい時間を過ごしました。この時以来、韓国関連の任務に関わるようになりました。2020年6月からは韓国で防衛駐在官を務め、2022年7月からは先任防衛駐在官となりました。この間には外国武官らから多くの支持を得て、在韓外国武官団長(Dean of Foreign Military Attaché Corps: FMAC)に選んでいただきました。FMAC(在韓外国武官団)には駐在70人、非駐在16人の武官がいます。2022年の1年間、私は日本人としては23年ぶりとなる在韓外国武官団長の任を務めあげました。

 

2022年12月、韓国軍主催の年末のパーティにて。武官団長としての役割を果たしたことへの感謝状を受け取った。

 


現在は韓国で防衛駐在官を務めていらっしゃいます。主な役割と責任について教えていただけませんか?


一般に、防衛駐在官は軍事情報を集めるのが主な役割です。駐在国の軍や防衛当局関係者、さらに外国の駐留軍の士官などから様々な情報を得ることになります。これは軍人同士のつながりを通してのみ得られるものも多くあります。

 

また、近年は日本と他国の防衛協力が質と量の両面で拡大し続けていますから、私たちはこのような活動に関する調整にも責任があります。

 

日本の防衛省は雑誌「MAMOR(マモル)」に編集協力をしており、その「エアメール」というコラムで、この分野の活動について防衛駐在官が報告しています。2022年1月の「MAMOR」第179号に私の詳細が掲載されています。

 


現在の立場から見て、今後5~10年における日本の展望と課題についてどのようにお考えですか?


2022年12月、日本の防衛駐在官のチームメンバーと、
ソウル軍事駐在官協会(Seoul Association of Military
Attachés: SAMA)のダンスパーティにて

 

日本を含む国際社会は、新たな危機の時代に突入しつつあり、ここに重大な課題があります。インド太平洋地域では、国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事件が起こる可能性があります。日本はこれらの動きの最前線にあると言えます。

 

これらの背景から、日本がその防衛能力を根本から見直し、日米同盟をさらに強化し、志を同じくする国々との安全保障協力のための基盤を作るべき時期を迎えています。

 


職務上で直面している特に大きな課題は何ですか?また、印象に残っている仕事や、やりがいについてお聞かせください。


韓国での任務中にCOVID-19の感染拡大と「ウィズコロナ」時代への移行がありました。また、韓国では新政権に変わり、ロシアのウクライナ侵攻も勃発しました。

 

在韓外国武官団(FMAC)の代表として、韓国側およびFMACメンバーと緊密なコミュニケーションを取り、状況の変化に対応しました。幸い韓国語は日本語に比較的近い言語ですから、持ち前のコミュニケーションスキルを活かし、FMACの団長として様々なイベントを計画・調整するなど、充実した1年間を過ごしました。これらの活動を通して、韓国当局とFMACメンバーから調整スキルの高さを評価していただき、日本のプレゼンス向上につながる良い評判を得ることができました。防衛駐在官としての残りの期間を充実したものにするために、あらゆる努力をするつもりです。

 


本学で学ぶことになった経緯を教えてください。また、本学において学んだことの中で最も重要なものは何ですか?本学での経験は今のご自身の活動にどのように役立っていますか?


現在の任務に就く前に、日本の防衛研究所(NIDS)の一般課程に在籍していました。そのときにNIDSとGRIPSの合同プログラム(Strategic Studies Program、修士課程)に挑戦し、1年で修了しました。戦略研究分野の専門家や多様な国からの留学生たちと話をすることで、安全保障環境についてより広い視野を得られました。これらの経験から得た知識と国際交流スキルは、まさに今、韓国の様々な専門家や軍の高官の方との意見交換で大いに役立っています。

 


現在は主にソウルに駐在していますが、日本の懐かしいこと、および韓国での生活で特に気に入っていることは何ですか?


韓国の人々は、日本人が想像しているよりずっと日本の文化を好ましく思っていますし、日本食レストランや食材などについての心配は無用です。もし1つ足りないものを挙げるとすれば、日本式の「温泉」が懐かしいです。韓国の人たちは日本人よりも人懐っこく、お酒の席や様々なスポーツを通して色々な会話を楽しんでいます。

 


仕事とプライベートのバランスはどのように維持していますか?また、プライベートではどのように過ごすことが好きですか?

休みの日はゴルフやスキーを楽しんでいます。どちらのスポーツも友人と行きますから、韓国や海外の友人たちと集まって楽しい休日を過ごします。半ば仕事のようだと感じる人もいるかもしれませんが、私にとっては素晴らしい、ほかに代えがたい時間です。料理も好きで、休日には家族や友人にふるまっています。

 


未来のGRIPS学生達へアドバイスをお願いします。


日本では「学びなおし」の必要性についてよく耳にするようになりました。キャリアの半ばで知識を更新し、国際交流スキルを向上させることは、その後のキャリアに想像以上の良い影響を与えます。そしてGRIPSはそのような学びなおしのための最高の選択肢の一つです。

 

1つ目の理由は、優秀な教授と職員が在籍しており、単に単位を得るだけの場所ではないことです。各分野で最高の教育を提供しており、ここに集う学生とのつながりは有益となり得ます。2つ目の理由は、GRIPSがキャリアの半ばにある学生や外国人留学生を受け入れるように設計されており、キャリア途上の学生が混乱なくスムーズに学べることです。3つ目の理由は、六本木という東京中心部に大学があり、職場から通いやすいことです。ここまで知ったあなたがやるべきことは、、あと一歩踏み出すだけですよ!

 

ここに掲載された内容は個人の見解であり、その個人が属する組織の見解を代表するものではありません。

 

 

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