同窓会

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ALMO 2016.11

Nick01 Vathouniyom Douangmala(ラオス人民民主共和国)

国際機関日本アセアンセンター(AJC 東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター)観光交流部長

Young Leaders Program (2011年修了)

 

 

 

 

 

 

 

 

ラオス国立大学法学部を卒業後、1999年10月に外務省に入省。パリのラオス人民民主共和国大使館に3年間勤務するなど、外交官としてさまざまな職務に従事したのち、2010年に政策研究大学院大学(GRIPS)のYoung Leaders Programに入学。ラオスの外務省に戻り5年間勤務した後、東京の日本アセアンセンター(AJC:東南アジア諸国連合貿易投資観光促進センター)の観光交流部長に任命され、2016年4月に再び来日。AJCでは、ASEAN諸国と日本との間で観光事業を活性化し、人的交流を促進する役割を担う。

 

 

‐ご自身の専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。

2016年4月1日に、ラオス政府の任命を受け、3年の任期で東京を拠点とする日本アセアンセンター(AJC)の観光交流部長に就任しました。

 

この職務に就く前は、17年間外交官としてラオス外務省のさまざまな職務を遂行してきました。直近では、経済省にてアジア欧州会合(ASEM)部門の参事官兼部長を務めました。2004年2月から2007年12月まで、フランスのパリにあるラオス大使館/在外公館に勤務し、外交儀礼と大使の個人秘書を担う三等書記官を務めたのが、外国での唯一の職務です。

 

2003年1月から2004年2月までは、副首相と外務大臣の秘書を務めました。外務大臣は、ラオスで開催されたASEAN観光フォーラムの全国組織委員会、および第7回ASEAN観光大臣会合で議長を務めており、私にとっても、ASEAN観光業界での経験を得る素晴らしい機会となりました。

 

私は外務省と観光省の他の候補者とともに、AJC管理部門による選考を経て、この職務に最終的に任命されました。

 

Nick02

ASEAN会議にて日本アセアンセンター代表団座長を務めた

現在、日本アセアンセンターの観光交流部長を務めていらっしゃいますが、主な責務についてお聞かせください。

日本アセアンセンターの観光交流部はASEAN加盟国と日本との間で観光往来を活性化し、人的交流を広める役割を担います。国内の広報活動、およびさまざまなチャネルや媒体手段を使用した観光情報の提供を通じて、ASEAN加盟国を魅力的な旅行先として推進しており、私は、ASEAN事務局やASEAN各国の観光局と協力しながら部門を管理しています。我々の部門は、日本とASEAN地域において、観光事業への出資者向けのセミナーやトレーニングを主催しています。同様に、日本の観光業界と消費者に対しては、ASEAN観光の新たな魅力を伝える活動を行っています。またASEAN諸国からの観光客が近年増加していることを受け、ASEAN諸国から日本に旅行者を呼び込むための文化的なイベントも実施しています。

 

Nick04

2016年7月東京で開催されたASEAN学術フォーラムにて基調講演に登壇しパネリストを務めた

観光とは別に、ASEAN諸国と日本との間で、女性起業家から子供や若者に至るまでのさまざまな人々の人的交流を後援しています。交流活動には、ASEAN諸国と日本の人々が相互に理解を深めることができる伝統的なイベントも含まれます。

 

直面している課題はありますか。また、印象に残っている仕事や、やりがいについてお聞かせください。

日本アセアンセンターは現在、改革のさなかにあります。そのような中で、私にとって最大の課題は、「貿易、投資、観光、および人的交流のための優れた地域センター」という戦略的視点を実現するために、いかにして次のような改革原理を注視しながら、部門を管理するかということです。

 

  • 重複の回避:コアコンピタンスと独自性を強化することで、我々の活動を日本の他の機関の活動と差別化する
  • 成果基盤型プログラムの設計と実施:結果重視の成果とソリューションを創出する
  • 影響の評価:利用者の声の収集にSMART指標(具体性、測定可能性、実現可能性、適切性、期限設定の有無)を適用し、効果と影響を評価する

 

Nick07

2016年7月バンコクで行われたASEAN政府観光機構会議に出席

これまで私は、組織、職員の能力、開発、および成功を支援するためのパフォーマンス管理プロセスを、どのように効果的に運用するかを学んできており、部門の全員にこのプロセスに参加してもらう必要があります。

 

すべての職員が参加し、情報を提供することで、最終的に職員による関与と貢献の割合が増し、より質の高いパフォーマンス管理が実現すると考えています。

 

現在の立場から見て、今後5~10年における日本‐ASEAN関係における展望と課題についてどのようにお考えですか。

ASEAN地域は、日本の旅行者に最も人気のある目的地の1つになっています。昨年の2015年は、約4,700万人の日本人がASEAN地域を訪れ、美しい自然を楽しみ、本物の文化、世界遺産、各種アトラクションを経験しました。ASEAN諸国の人々の間では、アニメや「J-POP」などの日本のポップカルチャーが非常に人気です。日本語の学習も、特にラオス、インドネシア、タイ、ベトナムで人気が上昇しています。ASEAN諸国から日本への留学生数は大幅に増加しています。また、日本政府がASEAN市民に対するビザの要件を緩和したことが一因となり、日本を訪れるASEAN市民も急激に増加し、昨年は初めて2,100万人を超えました。

 

Nick03

2016年6月ジャカルタにあるASEAN事務局を訪問

ASEANと日本の相互関係はこの43年間で構築されており、私はASEANにおける経済統合の進展が、著しい経済成長につながると確信しています。この成長の裏にあるのは、日本とASEAN加盟国との間における必要不可欠な経済提携です。ですから、しばらくの間は、日本はASEANの第3位の貿易パートナー、および第2位のFDIの出資国であり続けるでしょう。さらに重要なことには、ASEANと日本は、貿易と投資の流れを2022年までに倍増することを既に確約しています。同様に、日・ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)の重要性から、相互関係と多国間関係、および経済統合はさらに進展するでしょう。その他にも、例えば、ASEANと日本の促進活動によりさまざまな交流プログラムが行われ、人と人との交流が盛んになり、その結果、人々の相互理解が進むと考えています。

 

私は、ASEANの「多様性」を活用し、「つながり合い」の強化を重視することで、ASEANの持つ潜在能力を発揮させようと取り組む中で、日本が必要不可欠なパートナーであり続けると確信しています。ASEANと日本の関係、およびビジネスパートナー同士の緊密な関係により、地域協力の中核として機能するASEANの統合はより急速に強化されるでしょう。これは、ASEANのためのみならず、日本と東アジアの安定と繁栄のためにも極めて重要です。ですから、つながり合いと統合を向上させるASEANの取り組みを、我々が向こう5~10年間サポートすることは、すべての関係者にとって有益です。

 

どのような経緯で本学を志願されたのでしょうか。本学での経験は、今のご自身の活動にどのように役立っていますか。

Nick05

2011年9月Young Leaders Programプログラムディレクターの堀江教授とともに

日本で公共政策の修士課程を修了したいと考えており、GRIPSのYoung Leaders Programは第一の候補でした。

 

堀江正弘教授から、「最初のチャンスは最後のチャンスである」という言葉をいただきましたが、私にとって最も価値があり思慮深い教えです。この教えの哲学は、機会を与えられたときはいつでも、たとえその機会が大きい、小さい、または重要であるかにかかわらず、常に最善を尽くして与えられた使命を達成するべきであるという意味です。これは、私の仕事と立身出世にとって最も価値ある教えとなっています。日本での素晴らしい経験は、社会的能力、敬意、自尊心、共感を創出し、私自身の潜在能力を引き出す助けとなりました。2011年3月11日に発生した東日本大震災と津波後の危機では、統率力と管理能力を身に付けました。

 

私は、仕事上の目標達成のために、次のように対処しておりGRIPSで習得したすべての技能用いて、機会、手段、リソースをくまなく効率的に検討し、管理するよう最善を尽くしています。

  • 割り当てられた作業や新たな任務の開始時に、組織や同僚とともに、明確な目的と目標を設定する。
  • 業務の整理:緊急の任務を優先し、簡単な依頼を迅速に処理し、緊急性の低い問題をやるべきことのリストに加える。
  • より合理的な作業の流れを維持するように気を配る。
  • チーム精神の考え方を持ち、先輩、同僚、および任務とは直接関連しない人々と強固な関係を構築する。
  • 任務を割り当てられた際は、管理チームの話に注意深く耳を傾けると同時に、ともに働くすべての同僚にも細かい注意を払う。

 

本学での懐かしい思い出はありますか。

Nick06

私の人生において、最も忘れられない思い出のいくつかは、GRIPSで過ごした頃のものです。教職員の方々、とりわけ論文指導教官の原洋之介教授から受けたご指導や、職員の方々に支えていただいたこと、GRIPSマラソンをはじめとするイベントや校外学習に参加したことです。、実際の生活に直面し、研究の場面に遭遇することができました。

 

ラオスを懐かしく思い出すことはありますか?また、本学在学中の2011年と比べた東京の変化はありますか?

毎食、日本食を食べるのは全く構いませんが、それでも時折ラオスのスパイスの効いた風味が恋しくなります。

そうですね、東京は2011年から僅かに変わっていますが、多くは良い変化です。生活の質を向上し、2020年の東京オリンピックで来日する人々を迎えるための取り組みが進められています。

 

仕事とプライベートのバランスはどのように維持していますか?

日々の業務にうまくバランスを取り入れるために、私が通常実践している方法は次の5つです。

1.予定している約束や活動の合間に常に休憩を取る

2.時間や労力を浪費する活動は中止する

3.買い物のことを考える

4.手際よく仕事をする

5.十分な休息を取る

気に入っている趣味は、旅行、料理、ネットワーキング活動です。

 

未来のGRIPS学生達へアドバイスをお願いします。

Nick08

GRIPSは日本で最も優れた大学院の1つだと思います。GRIPSの詳細については、ウェブサイトで必要な関連情報をすべて得ることができます。より詳しい情報が必要な場合は、同窓会に問い合わせてみてください。日本に来る前に、日本の文化、東京での生活、そして良い成績を収めるための技能をできるだけ多く学んでおくことをお勧めします。

 

本学とのつながりをどのように維持していきたいですか。同窓会活動強化についてなにか期待や提案はありますか。

GRIPSの同窓会ネットワークは十分に確立されています。同窓会を通じて、人々は関わり合い、つながりを築くことができます。GRIPSの同窓会は、研究や仕事の枠を超えて情報を共有し、互いに学ぶことができる素晴らしい基盤です。おそらくGRIPSの持つ最も価値ある資産の1つでしょう。

 

同窓会ネットワークでは、同窓生名簿にアクセスできる機会を提供し、キャリア関連のイベントやプログラムを主催し、クラブと地域の支部を組織しているため、修了生は継続的につながり合うことができます。もう1つ提案できるとすれば、日本および世界のほとんどの大学が参加している「Voluntary Support of Education」調査のデータを活用することです。この調査を日本の他の大学と共同で実施することで、GRIPSは同窓生の関心事項、専門的活動、嗜好に関するより貴重な情報を収集できるかもしれません。このデータを使用すれば、GRIPSは素晴らしい同窓生と最適な方法でコミュニケーションを取り、同窓生にサービスを提供できるでしょう。この調査は、同窓生に自分の考え、経験、功績等を共有するよう促す簡単な調査であり、大学間でプログラムや取り組みを共有し、情報提供し合うのに役立ちます。

 

 

 

〒106-8677 東京都港区六本木7-22-1

TEL : 03-6439-6000     FAX : 03-6439-6010

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