同窓会

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ALMO 2016.10

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Qin Yang(中国)

国際商業会議所(ICC)中国委員会 税関・貿易円滑化委員会 副委員長

GSPS-Customs and Trade Program (2001年修了)

 

 

16年以上にわたり中国海関総署で税関政策および管理の上級専門家として勤務。多数の中国税関近代化プロジェクトを促進する立役者としての役割を果たしている。公共部門で素晴らしい実績を築いた後、中国トップの通関コンサルティング会社となったCC International Consulting Limitedにおいて民間部門での活動を開始。2012年には、「中国国際貿易円滑化フォーラム( China International Trade Facilitation Forum)」の発起人の1人となる。このフォーラムはその後拡張され、国内の正規の貿易促進基盤となった。2015年に、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)より、税関近代化と貿易円滑化の分野における専門委員長に任命。さらに2016年6月には、ICC中国委員会の税関・貿易円滑化委員会の副委員長に選出されている。

 

‐ご自身の専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。

1995年に上海海関学院を卒業後、民間部門に足を踏み入れる前は、中国海関総署(CGA)でプロジェクトコーディネーターを務め、その後、税関管理の上級専門家として、数多くの主要な中国税関近代化プロジェクトで重要な任務を担当しました。関与したプロジェクトとして、APECの枠組みの下での中国-米国間上海通関港実演プロジェクト、全国的な中国税関近代化プロジェクト(フェーズ2)、中国税関コンテナ・セキュリティ・イニシアティブ(CSI)実施プロジェクト、世界貿易機関(WTO)および米国貿易開発庁(USTDA)双方の枠組みの下での米国-中国間税関近代化プロジェクトなどが挙げられます。

 

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世界税関機構事務局長御厨邦雄氏とともに

2012年から2014年には、世界税関機構(WCO)のアジアおよび太平洋地域情報連絡事務所で、東京を拠点に連絡担当責任者を務めました。その間、国家間の効果的な情報共有に努め、たばこの不正取引、および知的所有権を侵害する不正取引品の大規模な押収を複数回実施し、その功績はWCOより表彰されました。公共部門でのキャリアにおいて、3年間チベットに派遣されたこともありますが、少数民族の住む地域の開発に対する見識を深めることができました。

 

2006年には、CC International Consulting Limitedの設立と統括を務め、民間部門における活動を開始しました。同社は現在移行過程にあり、国内大手通関・貿易コンサルティング会社から、海外展開を進める中国企業、および中国で事業展開している巨大外国企業に対して最高級の包括的サービスを提供する会社へ成長しようとしています。

 

これまで、税関と貿易の分野に合わせて25年以上携わってきました。当初は税関職員でしたが、現在は中国の税関近代化と貿易円滑化を提唱、促進、および推進する役割を担っています。2015年3月には、政府間の貿易を促進する機関である中国国際貿易促進委員会(CCPIT)より、貿易円滑化と税関近代化の分野の専門家として、24名の専門委員の1人に選出されました。公共部門と民間部門の双方で、異なる立場と視点から同系統の職務を行ったことは、私の人生における驚くべき変遷です。

 

CC International Consulting Limitedの創業者であり経営者を務めていらっしゃいます。当会社の役割とご自身の責務についてお聞かせください。

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CC International Consulting Limitedは、私にとってもう1人の「息子」のようなものです。同社は現在、中国で事業を展開する多くのトップ企業(Fortune 500)にサービスを提供しており、助言および実社会のビジネスソリューションの双方を提供することで、企業が抱える法律、政策、および政府関係業務に関する問題に対処しています。韓国、米国、日本の多くの巨大なグローバル企業が、CC International Consulting Limitedの主要顧客です。過去10年間にわたって、諸問題および危機管理において実績を築き、顧客に代わって政府との関係を構築してきました。我々は、顧客のために素晴らしい実績を継続的に残すとともに、貿易と投資に関する中国の法律と政策に大きく働きかけました。

 

同時に我々は、近代化に関連するサービスを、商務部、財政部、海関総署などの中央政府機関、および江蘇省、山東省、広東省の主要な各地方政府にも提供しています。例えば、2013年と2014年には、中国の税関がWCOのCLiKCオンライントレーニングプラットフォームを導入する際の支援を行いました。同プラットフォームは現在、中国の税関職員向けの全国的な専門トレーニングツールとなっています。

 

また、中国国際貿易円滑化フォーラムの発足にも携わっていらっしゃいましたね。

2012年には、グローバル貿易が深刻な不況に陥る中で、国際貿易の円滑化が貿易開発と社会的繁栄のための重要な新しい「原動力」となることを認識し、WTOの国際貿易円滑化活動を中国で促進させるべく、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)の副会長であるYu Ping氏、および中国通関港協会(CAOP)の会長であるYe Jian氏とともに、「中国国際貿易円滑化フォーラム」を発足させました。このフォーラムは2013年に国務院によって承認され、現在は国内の正規の貿易促進基盤となっています。「中国国際貿易円滑化フォーラム」が支援する官庁には、商務部(MOFCOM)、交通運輸部、税関総署(CGA)、国家質量監督検験検疫総局(AQSIQ)、国家税務局、国家外為管理局が含まれます。

 

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中国国際貿易促進委員会の専門家委員

2014年には、外交部の中国国際公共関係協会が主催する中国公共関係における優れた事例に対して授与される金賞の選考において、「中国国際貿易円滑化フォーラム」は、192の候補の中から国家イメージ伝搬特別賞を受賞しました。

 

2012年、2013年、2014年、および2015年にフォーラムの事務局長を務めた私と同僚は、「中国国際貿易円滑化フォーラム」の4年連続で主催することに成功し、統括を務めました。さらに、貿易が盛んな国内の他地域にフォーラムを広げ、2014年9月の江蘇省における「中国連雲港市国際ロジスティクス展示会」では「中国(連雲港市)国際貿易円滑化フォーラム」が、2015年および2016年9月の山東省における「中日韓産業展示会」では「東アジア貿易・投資円滑化フォーラム」が、2016年5月の江蘇省における「2016年中国輸入製品展示会」では「第6回世界ビジネスリーダー会議」が開催されました。

 

現在は民間部門で働いていますが、中国で国際貿易の円滑化を推進した重要な先駆者として、現在もなお広く認識されていることを、嬉しく、かつ誇りに思います。

 

そして現在、国際商業会議所(ICC)中国委員会 税関・貿易円滑化委員会の副委員長を務めていらっしゃいます。

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国際商業会議所の税関・貿易円滑化委員会発足式にて

1919年に設立された国際商業会議所(ICC)は、世界最大のビジネス機関であり、さまざまな取り組みを通じて、グローバル貿易を促進し、国際的なビジネス環境の質を向上させています。中国国際商業会議所(CCOIC)を表すICC中国は、大手企業とビジネス協会で構成されるICCの国内委員会であり、ICCの方針を決定し、国際的なビジネスの懸念事項を政府に警告します。

 

2016年6月に、私は国際商業会議所(ICC)中国委員会の税関・貿易円滑化委員会の副委員長に選出され、任命されました。現在の私の責務は次の通りです。(1)国際貿易の規定、基準、ベストプラクティスの考案に関与する。(2)国際貿易の規定、基準、ベストプラクティスの中国国内での実施を促進する。(3)貿易および投資に関する重要な展示会やイベントを主催する。(4)中国における税関近代化と貿易促進の取り組みを強化する。(5)大手企業メンバーとビジネス協会の抱える法律および政策に関する重大な問題の解決を支援する。これは、私のキャリアの中でも全く新しい挑戦であり、新たな分野に追いつくために全力を尽くしています。

 

現在の立場から見て、今後5~10年における中国の展望と課題についてどのようにお考えですか。

中国は現在移行期にあり、個人的な見解としては、市場経済、法による規制、および民主主義が、将来的な発展において最も重要な基礎になると確信しています。これら3つは、中国政府および国民が直面している課題かつ機会であり、理にかなった、体系的、包括的、漸進的なアプローチが強く求められます。ただし、口で言うほど簡単なことではなく、さらに長い時間が必要となる可能性があります。その間、極めて安定的で開放された環境を維持するために、良い政治が不可欠です。

 

同時に、中国は近隣諸国、とりわけ日本や韓国と、相互の信頼、敬意、理解、および支援に基づく建設的な外交関係を維持する必要があります。そのような関係は、地域と世界の平和、発展、繁栄に寄与します。

 

直面している課題はありますか。また、印象に残っている仕事や、やりがいについてお聞かせください。

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世界税関機構の民間セクター協議グループ

これまでのところ、仕事上の最大の課題は、私の専門知識、技能、経験が限られており、継続的な学習の必要性を常に感じていることです。人生は継続的な学習の過程ですので、これは自然なことです。生涯にわたる学習スタイルは、この急速に変化する社会においてはすべての人々にとって重要です。私は前向きな性格で、本や、仕事や生活の中で出会う人々から学ぶことに慣れてきています。また、中国の一流大学である対外経済貿易大学(UIBE)と首都経済貿易大学という2校の修士課程の客員教授と学外顧問に任命されました。継続的に学び、働くことで、知識を広め、学生を育成できるよう全力を尽くしています。

 

私の仕事で最もやりがいを感じる側面は、貢献すればするほど、育成すればするほど、両者の関係が素晴らしいものになることです。そうしたやりがいを感じることができるのは、非常に幸運です。

 

どのような経緯で本学を志願されたのでしょうか。本学での経験は、今のご自身の活動にどのように役立っていますか。

私は1999年9月に、UNCTAD(国際連合貿易開発会議)とWCO(世界税関機構)の双方から、税関人材開発の奨学金を得ました。GSPS(政策研究大学院大学の前身である埼玉大学大学院政策科学研究科)で学ぶ機会を与えられたことは、私の人生における転機でした。GSPSでの2年間の学習を通して、高度な管理概念、思考法、職務技能のみならず、グローバルな視点や国際的なネットワークを得ることができました。これらは、私の人生を大きく変え、今後の活動における極めて重要で確かな基盤を与えてくれました。

 

仕事とプライベートのバランスはどのように維持していますか?

率直に申し上げると、今でも、仕事と生活のバランスをうまく維持することができていません。ほぼ毎日、「生活」よりも仕事に多くの時間を費やす必要があるためです。生活と仕事のバランスを慎重に維持することは、毎日14時間~15時間働く者にとっては容易ではありません。しかし、バランスをとることが重要であると認識してからは、仕事以外の事柄により多くの時間を充て始めています。

 

限られた空き時間には、読書、映画鑑賞、ゴルフ、そしてとりわけ子供と遊ぶようにしています。私は、妻、息子のAndrew、娘のHelenaと暮らしています。別々に過ごすこともありますが、私たちは皆、ともに過ごす時間を大切にしています。

 

本学での懐かしい思い出はありますか。

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世界税関機構と地方税関を訪問

GRIPS/GSPSには、非常に懐かしく大切な思い出が数多くあります。多文化環境で異なる国や地域の同窓生と育んだ友情、友好的な独自の日本の社会や人々との直接的な触れ合い、そして校外学習、花火大会、花見、温泉といったさまざまなイベントなどです。特に、1961年以来、六本木で上質な神戸牛と毛蟹を提供している「瀬里奈」という古い伝統的なレストランの料理が恋しいです。

 

未来のGRIPS学生達へアドバイスをお願いします。

勉学や研究のほかにも、国際的な視野を広げ、これから出会う同窓生、教授、および日本の政府関係者や企業家と建設的な関係を長期的に維持するよう、最大限努力してください。

 

本学とのつながりをどのように維持していきたいですか。同窓会活動強化についてなにか期待や提案はありますか。

修了後は、GRIPS/GSPSの教授、職員、友人と定期的に連絡を取っています。時折GRIPS/GSPSのネットワークの仲間が北京を訪問することがありますが、その際は同窓生と再び集まり、楽しい時間を過ごします。私たち同窓生の多くにとって、GRIPS/GSPSは生活の中で重要な役割を果たしています。GRIPSが最新情報を提供し、関係を強化し、キャリア開発の機会を広げてくれることを心から願っています。とりわけ、親睦と相互の結びつきのために、GRIPSがさまざまな国の国内で同窓会を設立し、広めていくことを提案します。

 

 

〒106-8677 東京都港区六本木7-22-1

TEL : 03-6439-6000     FAX : 03-6439-6010

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