同窓会

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ALMO 2016.5

Tony01Tony Hell(カンボジア王国)

カンボジア水資源気象省 トンレサップ湖管理当局 事務総長

Public Policy Program (2003年修了)

 

 

 

 

 

 

 

1998年にカンボジア王国で法学と経済学を学び経済分析学士号を取得、1年間民間の金融機関に勤める。その後、計画省へ転身し、国家戦略開発計画と公共投資プログラムを担当する。2007年、トンレサップ湖管理当局の企画連携局長に任命され、2013年には事務総長となる。政策研究大学院大学(GRIPS)には2003年に入学し、公共政策修士号を取得。

 

‐ご自身の専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。

人生の目的と目標を設定することを考えだしたのは高校を卒業する頃で、その時点で開発政策担当者になることを希望していました。1993年、カンボジア初の国内選挙が行われた後、同国の行政改革政策において、特に社会経済学の分野で経営や開発に関する自分の理解と知識を活かし、実行に移したいと思いました。

 

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トンレサップ湖管理局戦略プランに関するステークホルダーとの協議ワークショップ

1998年、カンボジアで大学の法学部と経済学部に通い、経済分析学士号を取得しました。最初は民間企業に就職しましたが1年で離職したのは、研究活動に十分な時間を確保し、環境開発や国家管理政策に関する知識が拡充できなかったためです。1999年の末には公共部門への転身を志し、計画省へと移り、国家社会経済開発計画(現在は国家戦略開発計画(NSDP)に改称)と公共投資プログラムの責任者を務めました。激務をこなし、国家のガバナンスの向上とマクロ経済学的成長を目指す行政改革に関する政策を理解することに力を注ぎました。

 

 

 

 

現在、カンボジア水資源気象省トンレサップ湖管理当局の事務総長を務めていらっしゃいますが、主な責務についてお聞かせください。

2003年にGRIPSで公共政策修士号を取得後も2007年まで計画省での勤務を続け、昇進後は閣僚評議会傘下にあるトンレサップ湖管理当局(Tonle Sap Basin Authority (以下「TSBA」)という新たな職場に移りました。戦略的計画の作成や連携、トンレサップ湖地域の管理・保護・開発に関する政策を担当する企画連携局長(Director of the Planning and Cooperation Department)に選ばれました。

 

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エコツーリズムに関する現地調査とトンレサップ湖上の村を訪問

2009年、抜本的な行政改革の一環として、トンレサップ湖管理当局はトンレサップ湖局(Tonle Sap Authority)と改称し、水資源気象省(Ministry of Water Resources and Meteorology)の管轄となりました。2013年にはトンレサップ湖事務総長に昇進しました。

私の主たる業務は日常業務の管理に加え、各種省庁・研究機関・地元当局・国内外の組織・NGO・市民団体等との協調、情報交換、連携により、トンレサップ湖地域の持続可能な管理、保護、開発を行うことです。

 

 

 

 

 

現在の立場からみて、今後5~10年のカンボジア王国の発展における展望と課題について、どのようにお考えですか。

実践を通じて学んだことから、今後約10年後にカンボジアではどのようなものが主要な商機になるのかがわかるようになってきました。衣類の輸出、不動産、建設事業の活況により経済は成長し、カンボジアは近年、アジアの新興国経済の中で急速な発展を遂げている国として挙げられています。今後はASEAN諸国とアジア太平洋地域の諸国の経済連携により、輸出拡大の機会がもたらされ、世界的なサプライチェーンの統合が進み、セキュリティや文化、観光など、様々な分野が多様化し、発展が促されます。

ここ5年から10年で発展の機会が数多く生まれると見られる一方、農村部と都市部の発展における格差の拡大、現在も続く国境地域の紛争の結果生じている政治的対立、天然資源の採掘による気候変動など、カンボジアは依然として重大な課題を抱えていくことになるでしょう。

 

 

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トンレサップ湖流域の統合管理について、国際湖沼環境委員会の日本代表と意見交換。

直面している課題はありますか。また、印象に残っている仕事や、やりがいについてお聞かせください。

仕事のプロセスについて言うと、どのような課題や問題に直面していても必ず解決策を見出さなければなりません。これまでの経験を通し、仕事は技術的側面と政治的側面の2つに分けることができると考えています。仕事上最大の課題は、高い水準の意思決定が常に求められる政治的側面に属しているのが実情です。

 

 

 

どのような経緯で本学を志願されたのでしょうか。本学での経験は、今のご自身の活動にどのように役立っていますか。

計画省在職中の2002年、アジア開発銀行の日本奨学金プログラムにより、GRIPSで学ぶ機会を得ました。計画省より本奨学金に出願する候補者として指名されたのです。2002年から2003年にかけてGRIPSに留学して得た最大の成果は、日本の文化、そして日本がアジアやその枠を超えてリーダーとなった数々の側面を学べたことです。実際、GRIPSで学んで得た知識やスキルを仕事のプロセスに取り入れています。政府幹部、関連省庁、開発パートナーとの意見交換の場を通じ、カンボジアの人々と自らの知識や経験をできるだけ分かち合うよう努めています。

 

本学での懐かしい思い出はありますか。

GRIPSでの留学時代、決して忘れることのできない思い出がたくさんあります。GRIPSの教授連やクラスメイト、日本人学生との議論を通じて多くの時間を学業や研究に費やしましたが、特に交流体験や日本の知識や社会文化を高く評価しています。実は宿舎からGRIPSまで、通学に少々時間がかかったのですが、日本の生活や文化の実情が体験でき、懐かしく思い出されます。日本の春、桜の季節も懐かしい思い出のひとつです。

 

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GRIPSのフィールドトリップで飛騨高山と白川郷へ。

未来のGRIPS学生達へアドバイスをお願いします。

公共部門で中堅に属する多くの若手カンボジア人職員に、公共政策や経営学に関する知識を拡充するようGRIPSへの留学を勧めています。その多くがGRIPSへの出願や奨学金プログラムを強く希望しています。

 

本学とのつながりをどのように維持していきたいですか。同窓会活動強化についてなにか期待や提案はありますか。

2003年にGRIPSで修士号を取得した後も、各国の政府機関等に勤めるGRIPSの修了生と主にSNSを通じて連絡を取り続けています。GRIPSの修了生ネットワークは旧交を温め、新たな人脈を作り、専門知識やその他の情報を共有するコミュニケーション・ネットワークとしてかけがえのない存在です。世界各地の開発政策などの研究所見や経験など、情報や知識を広く共有できるよう、GRIPSの修了生全員の出身国すべてにネットワークを拡大し、強化して欲しいと思っています。

 

 

 

 

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