同窓会

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ALMO 2016.2

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Tanavadee Khuvasanont(タイ王国)

在東京タイ王国大使館 経済・投資事務所 参事官(経済・投資)

Young Leaders Program(2009年修了)

 

 

 

 

 

 

 

タイのカセサート大学で工学の学士号を取得した後、アメリカのバージニア工科大学にて経営・システム工学を学び、修士号を取得。2006年からタイ王国総理府投資委員会(The Board of Investment of Thailand(BOI))にて投資推進官を務め、2008年に政策研究大学院大学(GRIPS)のYoung Leaders Programに入学。修了後はバンコクのBOI本部にて様々な任務を経験した後、2015年に在東京タイ王国大使館の経済・投資事務所に配属される。また、2014年のOutstanding Civil Servant(優れた公務員)に選出されている。

 

‐ご自身の専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。

タイ王国政府奨学金プログラム(Royal Thai Government Scholarship Program)のもと、アメリカのバージニア工科大学で経営・システム工学を学んだ後、タイ王国総理府投資委員会(The Board of Investment of Thailand(BOI))で官僚として働きはじめました。BOIでの初仕事は、同委員会が推進するプロジェクトの生産ラインにおける原材料や機械の活用度を検査する業務でした。1年後、国内外の投資家から投資プランの実現可能性を聞き取り調査して分析するプロジェクトアナリストになりました。

 

2008年、GRIPSで私の専門分野とはかなりかけ離れた公共政策で修士号を取得する機会が訪れました。GRIPSは政府サービスという視点において私の考えと視野を広げてくれたと思っています。GRIPS卒業後はBOI事務総長のチームに加わりました。トップマネジメント層にいる方々の近くで仕事をしたおかげで、彼らから様々な要素を学ぶことができました。2015年にはBOIの海外拠点では最大規模となる東京事務所に赴任しました。日本に再び戻ってくる機会が与えられたことを非常に嬉しく感じました。日本駐在の任期はおよそ3年です。

 

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2015年11月に名古屋にて、タイの投資機会に関するプレゼンテーションを行う

現在、在東京タイ王国大使館 経済・投資事務所 参事官を務めていますが、主な責務についてお聞かせください。

BOIの海外事務所は投資家が最初に開く窓として機能し、彼らがタイで円滑な事業活動を行えるよう支援することが私たちの責務です。東京事務所での主な職務は、日本人投資家へのアドバイス、タイの新しい投資スキームの最新情報提供、タイの投資に関する必要な情報の提示、問い合わせへの対応などです。BOI事務所は日本ではタイ王国大使館の傘下にあるため、タイ王国大使の経済チームとも緊密な連携を図っています。このほか、私たちはJETROやASEAN-ジャパンセンターなど、各種提携機関とも密接な連携を図っています。

 

 

職務で直面している最大の課題は何でしょうか。

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2015年4月富山にて鏡開き

日本は現在、タイへの投資額が最も高い国です。日本のメーカーが長年にわたってタイに子会社を設立してきました。ところが現在日本のみならず世界経済が停滞し、我が国最大の課題は、タイにすでにある日本企業の存続と、日本人投資家を新たに誘致し、タイの製造業とサービス業両方の投資を継続的に拡大させることです。

 

現在の立場から見て、今後5~10年のタイ日本間経済関係の展望と課題についてどのようにお考えですか。

タイと日本の経済関係は今後も変わらないと私は考えています。両国とも、製造業よりサービス業のビジネスチャンスが大きく増大すると思われます。タイへの観光客数はここ数年で飛躍的な増加が見込める一方、円安は今後も続くでしょう。

 

どのような経緯で本学を志願されたのでしょうか。本学での経験は、今のご自身の活動にどのように役立っていますか。

BOIのイントラネットで奨学金制度が発表されているのを知り、GRIPSの受験を決意しました。当時大規模なプロジェクトに関与していましたが、上司やBOIの上層部が今回の奨学金プログラムへの出願を全面的にサポートしてくださいました。GRIPSで学んだ中で最も意義深かったのは、「偏見なく物事を取り入れる」能力が高まったことです。かつての私はとても頑固な性格で、エンジニアとして訓練されていたため、物事を方程式で(例えば1足す1は2、と)解決するような人間でした。GRIPSで、様々な国から集まった様々な文化を持つ人々と知識や意見を(正しい、間違っていると決めつけることなく)共有し、そこに自分の思考をすり寄せるというスキルが少しずつ身につくようになりました。日本文化や日本人の思想もたくさん吸収することができ、日本人投資家の物の考え方やビジネス方式を理解する上で非常に役立ちました。この経験が現在日本で携わっている業務で極めて有益であるのは言うまでもないことです。

 

本学での懐かしい思い出はありますか。

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個別研究の聞き取り調査のため、橋本教授と共に太田市へ

この質問を受け、数々の懐かしい思い出が頭をよぎりました。素晴らしい友人、スタッフ、教授達の笑顔がいくつも思い浮かびました。日本の四季を通じて行われる年間行事に思いをはせると、夢のような思い出が呼び起こされます。中でも特に印象深いのは、尊敬する指導教官である橋本久義教授にご指導を受けた個別研究ではないでしょうか。橋本教授から、群馬県太田市の中小企業オーナーを紹介していただきました。研究にあたっての聞き取り調査を実施する際、橋本教授は面談の手配を快くお引き受けいただいたほか、ご自身のオートバイで太田市まで連れていってくださいました。その日は雨で、オートバイでの移動はとても怖かったのですが、生涯忘れられない思い出となりました。

 

タイを懐かしく思い出すことはありますか?また、本学在学中の2009年と比べた東京の変化はありますか?

そうですね、タイと日本は近い距離にあります。2009年、GRIPSのYoung Leaders Programを修了後も、日本には何度も出張や観光で訪れています。東京は私にとって独自の文化を持ち、常に活気のある都市です。古い建物を取り壊し、そこに新しい建物が建設され、東京は時間をかけて少しずつ変貌を遂げています。特に多種多彩な和食、風光明媚な景色、利便性の高い交通機関など、東京をはじめとする日本のすべてが気に入っています。

 

未来のGRIPS学生達へアドバイスをお願いします。

GRIPSの修士プログラムは実に密度が高く、1年で修了するのは大変だと思えるかもしれませんが、キャリアの一時期に時間を作り、こうした場で心と知識を新たにする価値はあります。日本は観光客にとってあこがれの場所である一方、学生として日本で学ぶことは、単なる観光客であるより、はるかに充実した体験が得られます。ですから皆さんにはプログラムをよく検討し、GRIPSのコミュニティに是非とも参加することをお勧めします。

 

本学とのつながりをどのように維持していきたいですか。同窓会活動強化についてなにか期待や提案はありますか。

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2015年9月にGRIPSで行われたホームカミングにて

GRIPSで得た人脈のおかげで、個人として、また仕事面でも世界中のネットワークが活用できます。教授や友人と(Facebookなどの)ソーシャルメディアを通じて連絡が取れるのはとてもありがたいです。GRIPSは同窓会ネットワークがかなり熱心な活動を展開していると思います。2015年9月に行われたGRIPSホームカミング・イベントに参加したばかりです。こうしたイベントでたくさんの同窓生と顔を合わせるのはとても有意義であると考えます。

 

 

 

 

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