同窓会

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ALMO 2015.3

MyoKhaing01Zaw Myo Khaing (ベトナム)

ミャンマー連邦共和国 運輸省気象水文局

予報補佐官 補佐予報官

Disaster Management Program, Flood Disaster Mitigation Course (2014年修了)

 

 

 

 

 

途上国における自然災害マネジメントのプロフェッショナルを目指して

-あなたの専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。

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2009年7月にタイのパトゥムターニー県で開催された国際研修会「気候変動:影響を受けやすいアジア太平洋諸国にとっての現在・未来の課題とチャンス」

私は、ダゴン大学1年に在学中だった1995年に運輸省の気象水文局に入局し、水文課のデータ記録・予報部門の下級観測官としてキャリアをスタートさせました。その7年後には、上級観測官として通信部門に配属されました。この時の仕事には、データ処理や水文観測装置の検査およびメンテナンスなどが含まれます。2009年には研究・訓練部門に異動になり、現在そこで予報補佐官として働いています。

1996年から2006年にかけては、ミャンマー中の水文観測所を数多く訪れ、現地調査を行いました。当時の私の任務は、洪水氾濫解析を行うための計測および水文データの収集でした。

 

海外で知識・技術の習得に励む
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2012年、広島市近郊にある宮島での調査研究にて

私は幸運にも、海外で学び、研修を受ける機会に恵まれました。2009年7月、上司とともにタイ国際開発協力機構(TICA)がタイのパトゥムターニー県で開催した気候変動に関する国際研修会に参加しました。2010年から2014年には、奨学金を得て二度にわたって日本へ留学しました。一度目は、国際協力機構(JICA)と海上保安庁の海洋情報部(JHOD)によって東京で開催された、6か月にわたる集団研修「航行安全・防災・環境保全施策立案のための海洋情報整備」への参加です。この時には、津波や高潮を防ぐための対策、海洋情報整備、領海の環境保全について学ぶことができました。そして二度目の留学として2013年10月から2014年の9月に、GRIPSの修士課程Disaster Management Policy Programにおいて学ぶ機会を得ました。

 

気象水文におけるこれまでの経験を母国ミャンマーの研修生と共有

-現在、ミャンマー連邦共和国運輸省気象水文局の予報補佐官として勤務されています。主な任務や職務はどのようなものでしょうか。

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水文学グレードⅢのコースで研修生に知識と経験を伝えている様子(ヤンゴン市のオフィスにて)

役職名からもわかるように、私は毎日の水位予報、洪水警報および速報を発表する予報官の補佐をしています。加えて、私たちの課では人材育成に力を入れており、気象学と水文学のグレードI、II、IIIのコースと、理学士号優等課程(気象学および水文学)のコースを内部研修として提供しています。私は研究・訓練部門に所属しているので、これまでの経験を研修生たちと共有するのも任務のひとつです。また、私は教育実習生として内部研修にも関わっています。さらに、水文に関連するプロジェクト(「ADB TA-8456 MYA: 都市管理に関する技術移転― パートII洪水管理」など)への参画も私の任務のひとつです。

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パートII洪水管理のための会議(モン州モーラミャイン市の気象・水文研究所にて、日本の企業と土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センターのチーム

 

-これまでの業務で一番苦労したことはなんでしょうか?またこれまでのキャリアで一番やりがいを感じたことはどんなことでしょうか。

近年、予測業務においては、現代技術がますます重要な役割を担うようになってきています。しかし、こうした現代技術は質の高いデータを得るのに役立つ反面、通信システムやソフトウェア、高度技術設備など、常に最新の状態を整備しなくてはならず、私個人にとっても課にとっても大きな課題となっています。

 

 

GRIPS在学時、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)から“Sontoku Award”を受賞

私の仕事の中で特に興味深く感じる側面としては、洪水氾濫解析、フィールドサーベイ、河川調査、などが挙げられます。また、2012年に東京で受けた研修プログラムは私のキャリアを語る上で欠かすことはできません。しかし、これまでで一番実りある経験は、2013 年から2014年にかけてGRIPSのDisaster Management Policy Programの中にある水災害リスクマネジメントコースで学んだことです。洪水災害軽減のコースで水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)から“Sontoku Award”を受賞したことも、GRIPSでの経験をより特別なものにしています。

 

―GRIPSで学んだことの中で最も重要なものは何ですか?またその経験は将来に向けてどのように役立つと思いますか?

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ICHARMの教員や学生たちとのバーベキューパーティー(JICA筑波国際センターにて)

建築研究所(BRI)、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)および土木研究所(PWRI)、国際協力機構(JICA)と連携して、GRIPSは修士課程Disaster Management Policy Programを提供しています。このプログラムの目的は、途上国における自然災害に対応できる専門家を養成することです。前述のとおり、私は2013年に洪水災害軽減を専門に、GRIPSの修士課程に入学しました。1年で修士課程を修了したのですが、この間のほとんどの時間を水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)で、専門分野に関連する問題の研究と分析に捧げました。また、様々な研究旅行や、GRIPSが提供している災害管理全般に関する科目は非常に有益なものでした。

 

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2014年9月の卒業式にて、ICHARMのセンター長と

GRIPSで修士課程を始める前、私は多くの経験を積みながら、災害軽減に関する現代技術を学びたいと思っていました。集中して学問に専念した一年は、得がたい経験であり、自信もつきました。また、専門的知識に加えて、地震学、津波やその他の水害に関する知識など、災害リスクマネジメントに必要な基盤的要素をも学ぶことができました。GRIPSとICHARMで得たこうした数々の知識・経験が、現在そして未来において、水害管理の分野でよりよい仕事をするための糧となっています。

 

―GRIPSでの一番の思い出は何でしょうか?

GRIPS主催の名古屋への研究旅行は、とても良い思い出です。名古屋に行ったことで、日本の文化や、水害対策における高度な技術についてもっと知りたいと思うようになりました。GRIPSでの一番の思い出は、災害管理全般(避難経路地図や市民の意識などを含む)に関する学び、クラスメートとのかけがえの無い日々、そして名古屋への研究旅行、それら全てです。

 

GRIPSへの入学を考えている皆さんに一言アドバイスをお願いします。

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ミャンマー人参加者による、JICA東京国際センターでのグループディスカッション(2012年)

GRIPSの同窓会ネットワークは在学中の学生にとっても、修了生にとっても、知識と経験を共有できる素晴らしい場所になり得ると思います。また、GRIPS修了生の活動や業績は、GRIPSで学ぶことに興味を持っている未来の優秀な研究者にとって魅力的ですし、彼らをASEAN諸国や世界各国から新しい仲間として迎え入れることにつながるのではないでしょうか。

 

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