学長あいさつ
政策研究大学院大学(GRIPS)は、1997年に日本初の本格的な政策研究・教育の拠点として誕生しました。政策研究に特化し、国内・海外の政府部門で働く行政官をおもな対象として大学院教育を行っています。創設以来、イノベーティブな気風をもち続け、従来の大学の枠にとらわれない教育プログラムを開発してきました。
学生の大半はミッドキャリアの行政官で、50か国以上から集まっています。約400名のうち約6割を外国人留学生が占めるという、世界でも有数の国際色豊かな教育機関です。日本人学生は、中央省庁、地方自治体のほか、企業、メディアなど多様な機関から集まっています。世界各国の未来のリーダーたちがともに学び、切磋琢磨する環境は、他では得られない貴重なものです。
≪統合力と突破力をもった未来のリーダー≫
これが、本学が育てようとする人材像です。経済学、行政学、国際関係、政治学、科学技術イノベーション、土木工学など、多様な学問分野にまたがる教員から刺激を受け、多角的なアプローチを学ぶことで、複雑な政策課題を俯瞰して捉える「統合力」が身につきます。また、本学には、国際機関や政府で経験を積んだ実務経験者も豊富ですから、現実の政策立案から実施に至る政策マネジメント全体の知見を深め、「突破力」に近づくことができます。
政策研究は、理論から実践、政策形成プロセスまで多様な要素を含み、常に現実と切り結びながら進めなくてはならない、たいへんむずかしい分野です。しかも、現在は、急速なデジタル化、地球温暖化、地政学リスクの高まりと世界経済の分断など、これまで経験したことがない不連続な状況が広範に生じています。このような地殻変動のなかで、政策のプロフェッショナルを育てる本学は、何をめざしていくべきか。2025年度にとりまとめた『GRIPS 2035』では、めざす姿を次のように描きました。
≪未来を探り、政策を革新し、世界の課題と切り結ぶ≫
不確実性が高い時代だからこそ、未来を探る努力を続け、従来とは異なる枠組みと発想で政策を構想する努力が求められます。そして、さまざまな政策課題に正面から向き合い、困難に屈せず挑んでいかねばなりません。めざす姿を実現するために、GRIPSは、これからも新たな試みと創意工夫を重ねてまいります。
政策研究大学院大学 学長
大田 弘子