研修事業

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第2期生(2016年度~)

2016年にSPRIプログラムを開始した第2期生の訪日実績をご覧いただけます。

 

※ 掲載情報は各インタビュー時点のものです。


 

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サタポン・スーンタララックさん(タイ)

タイ内務省地方自治局 地方教育開発課長

政策課題:地方自治

 

 

 

 

 

 

タイ内務省にて32年のキャリアを持つサタポンさんは、内務省地方自治局地方教育開発課長を務め、地方自治体の制度及び構造に関する調査・開発、地方分権化の促進等にあたっています。本SPRIプログラムでは、日本の総務省の協力の下、市町村合併の経験のある地方自治体を訪問し、県庁市役所等での意見交換を通し、タイ政府が促進している地方自治体の合併について、より効果的な政策提言をすべく研究を行っています。

 

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写真左:対馬市役所豊玉庁舎にて(第1回目の訪日研究より)、写真右:青森県庁にて市町村合併の効果を学ぶ(第2回目の訪日研究より)

 

<サタポンさんのコメント>

■2回の訪日研究を行って(2016年10月)

地方自治体合併で、強固な自治体運営と効果的な行政サービスを

 

タイには約7,850もの地方自治体が存在していますが、その多くが小規模で、財政的に住民への行政サービスを十分に提供できていないことが問題になっています。そのため、タイ政府では地方自治体の合併政策を模索しています。タイでは、多くの地方自治体が合併に対して消極的であり、合併の成功には当該地方自治体における地域住民を説得するリーダーの存在と、法規制による合併基準の策定の2点が重要な鍵だと考えています。現行の法律改正にも取り組んでいますが、日本の昭和の大合併時のガイドラインが参考になっています。SPRIプログラムの訪日研究では、過去に合併を行った地域を実際に訪問し、首長や職員の方と意見交換をし、合併の成功又は失敗の背景を考察することができました。更に各地を訪問したことにより、山岳部、郊外、都心部それぞれの場所で異なる文化や人々の生活があるという地域の特性を理解しました。この観点は、市町村合併において非常に重要だと考えます。また、日本の意思決定のプロセスは優れていると感じます。地域住民との対話の機会によって、強制的ではなく、合意に至るまで(時には6年間かけて)交渉を続ける姿勢に感心しました。

 

■すべての訪日研究を終えて(2018年2月)

まずは試験的な導入から。合意に至るまでのプロセスを大事にしたい

 

以前から日本の行政システムは大変優れていると聞いていました。そして実際にこのプログラムを通して、日本の東西南北、大小さまざまな規模の自治体を訪問し、合併についての状況を学ぶとともに関係者と意見交換をする機会をいただきました。この研究成果をもとに、昨年11月にはタイで地方自治体合併についての政策提言を行い、出席者からは概ね賛同を得ることができました。しかし、合併の対象を人口7,000人を下回る地方自治体とするとしていた点については、タイの現状を考えると基準が厳しいという声もあったため、まずはすでに合併を希望しているいくつかの地方自治体での試験的な導入を考えています。合併は強制的に行ってはいけないのだということも、このプログラムから学んだことのひとつです。このような素晴らしいプログラムに参加することができて大変良かったと思います。

 


 

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グエン・ティ・トゥ・ホンさん(ベトナム)

ベトナム資源環境省 土地管理総局 課長

政策課題: 用地取得関連制度

 

 

 

 

 

 

ベトナム資源環境省土地管理総局の課長を務めるホンさんは、土地管理に関わる科学調査及び技術移転等の国際業務全般の責任者を務めています。本SPRIプログラムでは大学での研究指導に加え、日本の国土交通省土地・建設産業局の協力の下、政府機関の実務担当者とのディスカッションや土地開発関連企業の訪問を実施。ベトナムの用地買収における補償に関する政策及び規則が、より公平、効果的、高い透明性を確保できるような提言に向けて、研究を行っています。

 

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写真左:区画整理に関するケーススタディ(国土交通省、第2回目の訪日研究より)、写真右:横浜環状道路建設の現場を視察(第2回目の訪日研究より)

 

<ホンさんのコメント>

■2回の訪日研究を行って(2016年9月)

ベトナムの用地買収制度の改善に向けて

 

当局ではこれまでも、日本の国土交通省の協力によってベトナムで実施された土地管理に関するワークショップ等を通し、優れた理論と知識の取得に努めてきました。ベトナムでは用地買収における補償に関する政策が改善されているにも関わらず、実際の運用には課題があり、多くの公共事業投資案件が遅延する事態が発生しています。用地買収における補償をより公正に、効率的に行うため、法的な改善と同時に、より詳細なガイドラインの策定、業務フローの確立が必要です。SPRIプログラムの訪日研究は、大学での指導に加え、関連省庁の実務担当者の方や、開発・投資側である日本企業の方々とのディスカッションの機会が多くあり、様々なステークホルダーの意見を知るために非常に有効だと感じます。本プログラムを通して日本の経験を学ぶことができ非常に幸運だと思います。ただ、ベトナムへの応用に関しては、より詳細に背景・条件を考察し、技術担当者とも意見交換を行い、応用のタイミングをきちんと図ることが重要だと考えています。例えば、施策立案や事業計画の過程で民意を反映するPI(パブリック・インボルブメント)の手法は有効ですが、ベトナムでは同様の過程でその手法を用いることは将来の課題と考えています。

 


 

 

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