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2023.5.8 お知らせ

高橋和志教授・後藤潤助教授らの研究論文がADB–IEA Innovative Policy Research Awardで優秀賞に選ばれました

アジア開発銀行 (ADB) と国際経済学会 (IEA) は、経済学における革新的な実証研究の適用を促進し、アジア太平洋地域の主要な開発課題に対処するためのエビデンスに基づく政策を支援することを目的としたADB–IEA Innovative Policy Research Awardを選出しており、2023 年の同賞Honorable mention(優秀賞、佳作)として本学の高橋和志教授・後藤潤助教授らによる論文” Saving for a lean season: Evidence from Randomized Experiment and High-frequency Data”を選出したことを発表しました。

https://events.development.asia/learning-events/winners-2023-adb-iea-innovative-policy-research-award

 

(論文概要)
所得の多くを農業に依存する開発途上国の農村貧困世帯は、農業関連の仕事が少ない農閑期にとりわけ生活水準が悪化することが知られています。こうした季節的貧困がどの程度深刻か、またそれを克服するための有効な政策手段は何か?これらの疑問に答えるために、本研究では、2週間に1度の簡易生計調査をバングラデシュ北部の180の極貧世帯を対象に2年間行いました。初年度は季節的生活変動の調査に徹し、2年目は農閑期のはじまりに満期を迎える定期預金を一部の対象世帯のみが行えるランダム化比較試験を導入しました。その際、満期時に利子を50%受け取れる家庭と市場利子率(およそ年利8%)受け取れる家庭に分けました。その結果、プレミアム金利を適用した世帯の消費は、非介入の対照世帯と比較して農閑期に8-13%増加するが、その効果は一時的なもので、長くは続かないことがわかりました。一方、市場金利のグループでは有意な差が検出されませんでした。これらの結果は、様々な制約を持つ極貧層世帯が、貯蓄へのアクセスを通じて資源配分を効果的に変更する可能性を示唆していますが、貯蓄制約の緩和だけでは、極貧困層の福祉改善に革新的な影響を与えられないということも同時に示しているといえます。

 

高橋教授の専門は開発経済学、応用ミクロ計量経済学。2006年に本学公共政策プログラムで博士号(開発経済学)を取得し、日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員や上智大学教授を経て、2019年に本学教授に着任しました。近年は技術普及、マイクロファイナンス、貧困動態を主な研究対象としています。

 

後藤助教授の専門は開発経済学、政治経済。2014年に東京大学で博士号(農学)を取得し、神戸大学経済学研究科講師・一橋大学経済研究所を経て2022年に本学助教授に着任しました。近年は経済的インセンティブと社会規範・選好の生成に関する実証研究を主な研究対象としています。

 

・受賞発表(ADB Knowledge Events):https://events.development.asia/learning-events/winners-2023-adb-iea-innovative-policy-research-award

・論文:https://az659834.vo.msecnd.net/eventsairseasiaprod/production-adb-public/41d21d61ddb7476db35cbc1e3e6ffb37

・高橋教授プロフィール:https://www.grips.ac.jp/list/jp/facultyinfo/takahashi-kazushi/

・後藤助教授プロフィール:https://www.grips.ac.jp/list/jp/facultyinfo/goto-jun/

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