GRIPS 政策研究センター Policy Research Center

客員研究員

2015/6/10 ~ 2016/3/31

日英語のナラティブ分析 - 視点と談話展開に着目して-

研究代表者

奥川の専門領域は言語学(談話分析)および日本語教育学であり、日本語母語話者と日本語学習者の言葉のないアニメーションのストーリーを語ってもらった物語談話(ナラティブ)を認知機能主義言語学の観点から分析している。

研究目的は「日本語母語話者と日本語学習者の物語談話を比較し、日本語らしい物語とはどのようなものか明らかにすること。また日本語学習者の母語である英語の物語談話でも分析し、英語らしい物語とはどのようなものか明らかにすること。また書き言葉(作文)と話し言葉(自然会話)の物語談話を比較し、それぞれの相違点を明らかにすること」である。具体的には、以下の課題に取り組んでいる。

(1) 課題1:日本母語語話者の物語談話分析(日本語)

(2) 課題2:日本語学習者の物語談話分析(日本語)

(3)  課題3:英語母語話者の物語談話分析(学習者の母語(英語))

【国内外の研究の動向、着想に至った経緯、研究の重要性・意義】

奥川は日本語母語話者と学習者の物語談話を比較し、日本語物語談話とはどのようなものか、日本語学習者にとって習得が困難な箇所はどのような点か、さらに学習者の母語である英語の物語談話を分析し、英語らしい物語談話とはどのようなものか明らかにしようとしている。

体験談の披露や出来事の報告等、出来事を時系列に沿って説明することは日常的に行われる行為であるが、日本語学習者の談話は長いものになると日本語母語話者に違和感を感じさせることが多い。この不自然さの原因には、日本語学習者がただ単に単文を時系列に連ねているだけであり、テクストというひとまとまりの構造体として文を展開していないことに起因している。しかし、このような構造体としてのまとまりを構成するための談話展開技術が具体的にどのようなものなのか先行研究ではほとんど明らかになっていない。また、教育の現場でも教師による学習者の一文レベルの文法間違いの訂正に焦点が当たっており、教師ができる事も限られている。以上のような現状を踏まえ、奥川は、日本語母語話者の産出した物語談話と日本語学習者のものとを比較し、一文レベルのみならず、談話レベルでの分析もおこない、日本語らしい物語談話とはどのようなものかを日本語母語話者と学習者の事態把握の違いや談話展開の際の連体修飾節、時制の使用の差により解明してきた。

今後は、学習者の母語である英語の談話分析も行い、英語らしい物語談話とはどのようなものか明らかにする。さらに、日英語の話し言葉(自然会話)の物語談話分析をおこない、書き言葉(作文)の物語談話と比較・分析し、それぞれの特徴を明らかにする。

その結果を日本語教育へ応用し、一文レベルに加え、談話レベルでの日本語の指導を視野にいれた教材開発のための基礎資料とし、言語研究と言語教育の相互活性化を目指す。