GRIPS 政策研究センター Policy Research Center

客員研究員

2016/4/1 ~ 2018/3/31

大学の専門スタッフが外部資金獲得や産学連携活動に及ぼす効果に関する研究プロジェクト

研究代表者

本研究は、大学において産学連携やリサーチ・アドミニストレーションに携わる専門スタッフの活動が、当該大学の外部資金獲得や産学連携に関する各種パフォーマンスとどのように相関しているのかについて、定量的なデータ分析と定性的な実態調査により知見を得ようとするものである。

産学連携に携わる人材とそのパフォーマンスについて、Siegelらは、米国の産学連携のステークホルダーに対して98件の構造化されたインタビューを行い、産学連携を担う技術移転機関(TLO)のスタッフィングが産学連携のパフォーマンスにおいて最も重要な組織的要素の一つであることを示した (Siegel et al., 2003a; Siegel et al., 2003b; Siegel et al., 2004)。英国においても大学の技術移転機関の分析が行われ、効果的な技術移転のためには、マネジャーやライセンス担当者のビジネススキルを向上させる必要がある旨が示された (Chapple et al., 2005)。

日本においては、産学間の技術移転を担うTLOが1998年にはじめて設立された。当時は国立大学に関しては法人格がなかったため、TLOを大学外に置く必要があったが、TLOの設置によって大学・公的研究機関から産業界への技術移転が活発に行われるようになった(Sumikura, 2004)。そうした状況を受けて、Woolgar(2007)は、日本の87大学に対する質問票調査と21の準構造化されたインタビューを実施し、産学連携を促進するためには、産学連携に携わる人材流動を促進することとスキル開発の必要性を示した。また、Senoo et al.,(2006)は日本のTLOの全数調査を実施し、パーマネント職員の比率、フルタイム職員の比率、企業の経験のある職員の比率が、TLOのパフォーマンスの向上と相関を持つことを明らかにした。しかしながら、2004年の国立大学法人化によって国立大学においても大学知的財産本部が学内の組織として設置されるようになり、知的財産の機関帰属が原則となっており、産学連携の態様は変化している。一方、国立大学法人化後、2009年度時点の状況を把握するためのアンケート調査の実施(隅藏ら(2010))はあったものの、現在までの状況を踏まえた分析はなされていないため、産学連携の人材とそのパフォーマンスに関する現状に即した分析が必要である。

大学のリサーチ・アドミニストレーションに携わる研究推進支援人材(URA)は、日本においては2011年より整備事業が実施され、現在では約700名が活動するに至っている。その業務は、研究戦略策定、競争的資金の申請(プレアワード業務)、研究プロジェクトの管理・推進(ポストアワード業務)など多岐にわたるが、その活動と大学の外部資金獲得等のパフォーマンスの相関についての分析はこれまでなされていない。

こうした背景を受けて、本研究プロジェクトでは、大学の専門スタッフが外部資金獲得や産学連携活動に及ぼす効果について、「産学連携等実施状況調査」を用いたパネルデータに基づいた定量的な分析を行い、さらに、定性的な調査によりその結果を補強するものである。