GRIPS 政策研究センター Policy Research Center

客員研究員

2017/6/1 ~ 2019/3/31

ライフサイクル・家族に関係した雇用・失業問題の経済分析

研究代表者

この研究は平成28年度政策研究センターリサーチ・プロジュクト「労働サーチ理論を用いたライフサイクル上の雇用・失業分析」を拡張・進化させたものであり、人々の労働に関する意思決定に対して大きな影響を与えるライフサイクルや家族の問題を考察に入れた雇用・失業問題の経済分析を行うことを主な目的としている。

具体的には、2つの方向性に基づき研究を遂行する計画である。

一つ目は、日本とスペインの非正規雇用問題に関するJulen Esteban-Pretel准教授(スペイン出身、元本学准教授)との共同研究である。この研究では非正規労働者の問題が重要な政策課題となっている日本とスペインのデータを用いて経済学的分析を行う。分析に際しては、雇用・失業分析の標準的枠組みである労働サーチ・マッチング・モデルに、労働者の年齢を明示的に導入することでライフサイクルの観点を加味したモデルを用いる予定である。スペインでは我が国と異なり非正規職からキャリアを開始する労働者が大半であること、失業率が非常に高いこと(特に若年労働者では40%を超える)のように両国の非正規雇用問題の背景には大きく異なる点もあることから、両国を同時に研究することで非正規労働者問題につきより深い理解を得られると考えている。

二つ目は、雇用と家族構成の関わりに関するXiangcai Meng助教授との共同研究である。教育水準や、居住地域の移動の容易さのような人々の雇用機会を大きく左右する要因は、家族構成に大きく影響される。例えば家族の教育費への支出には限度があるため、兄弟姉妹数が多いと、他の要因が一定ならば教育水準は低くなるのが一般的である。他方、兄弟姉妹数が多ければ老親の世話の負担を分散することが可能となるため、より良い雇用機会を求めて地域間を移動することが容易になると予想される。本研究ではまず日本のデータを用い、こうした雇用と家族構成の関わりを分析していく。研究の進行状況によっては、日本と家族規範につき多くの共通点を有する韓国等他の東アジア諸国についても、研究対象に加えることを検討している。