GRIPS 政策研究センター Policy Research Center

客員研究員

2012/3/28 Report No:11-31

開発援助の展望:貧困・格差問題の新たな展開

著者
  • 安藤 直樹政策研究大学院大学
分野 経済学
言語 日本語
要旨

新興国を中心に多くの途上国が経済成長したことにより、貧困・格差の問題は新たな展開を見せている。1990年代から2000年代にかけて、絶対的な貧困者数は減少し、多くの国において貧困層の所得も向上した。

 しかし中所得国においては、経済成長に伴い格差が拡大する国が相当数あり、格差の拡大を抑制または補完する政策の実行が重要な課題となっている。また中所得国には、未だに貧困層と貧困層を少しだけ上回ったばかりの人々が、膨大な数存在する。中所得国の貧困問題は、開発援助のターゲットとして引き続き重要である。

 低所得国(特に重債務貧困国イニシアティヴの対象国)においては、貧困層の所得向上という面だけに注目すれば、それなりの成果をあげている国が多い。しかし経済成長が小さかったため、この低成長のままでは貧困削減が近く行き詰まる可能性が高い。持続的な貧困削減を達成するために、経済成長と貧困削減の両立の模索が急務である。

 先進国の低所得者と途上国の高所得者間で、所得水準が交差し始めている。このことは、開発援助資源の確保において先進国の税収にのみ頼るのではなく、例えば途上国を含む富裕層に負担を求めていくことにつながる可能性がある。革新的資金調達メカニズムは、単に財政難に苦しむ先進国の補完的な財源ではなく、開発資金の負担者をだれにするのかという開発援助の基本問題を再定義しようとする動きであり、今後も重要性が増すと考えられる。

キーワード protecting cultural properties, surrounding environment, basic plan of history and culture (translated by author)
添付ファイル 11-31.pdf