9. ホーチミン市の美味

VDFのリーダー、K.O.教授はグルメである。といっても、別に高級レストランを渡り歩くのではなく、庶民派食堂でおいしいものを見つけるグルメである。そのK.O.教授のホーチミン市での一押しが、「ソフトシェルクラブ」、つまり脱皮直後のカニのから揚げである。これは本当においしい、その上にホーチミン市 で食べると安い。

ただ、素朴な疑問は、なぜ常に脱皮したてのカニが在庫されているんだろう??ということである。カニって満月の夜しか脱皮しないんじゃなかったっけか。そんな疑問に、「こども電話相談室」のようにGDFのA.S.さんがネットでいろいろ調べてくれた。

まず、カニのような甲殻類は硬い外骨格に覆われているので、そのままでは成長できない。そのため、古い殻からいったん体液中にカルシウムを吸収してから脱ぎ捨て、新しい殻がまだ硬化する前に水を吸収してその圧力で膨らみ、カルシウムを新しい殻に戻すことで再び硬化する。この硬化前の段階で調理してしまうのがソフトシェルクラブである(Wikipediaより)。

へー、カニってすごいメカニズムを持ってるんだ。でも、脱皮してもすぐ硬くなってしまうのでは、と思ったのだが、どうやら一度脱皮したカニは、海水に浸からなければ新しい殻を硬化できないそうだ。なぜだかはわからない。て、ことは、カニを大量に捕まえて、脱皮したらすかさず海水から出して、そのままにしておけばよい、ということか。人間も、おいしいものを食べるためにはいろいろ工夫するものである。

そしてK.O.教授は一言、「まったく、ベトナムは何でこんなにおいしいものを安定供給できるのに、製品の品質は安定しないんだ!」(在越日系企業の間では、ベトナム人は品質の良いものを一つ作れても、その水準を大量生産で維持することができないといわれる)。うーん、なぜでしょう・・。ちなみに、このホーチミン市でのソフトシェルクラブ屋さんは、同じ通りに2件並んで建っているのだが、K.O.教授お勧めの店のほうがあきらかにおいしい。お互い切磋琢磨して味をあげる、ってわけじゃないんだなぁ。しかも、味に差があって並んで建っているのに、まずい方の店はなぜ潰れないんだろう・・。
(2006年7月)

 

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