27.  ハノイの冬は寒い

ハノイの冬は、意外に寒い。ベトナムは東南アジアの一国ですから、常夏の国と思っている方も多いのでしょうか。ホーチミンはそうなのですが、ハノイにはそれなりに四季があり、冬もそれなりに寒い。しかも、湿度が高いせいか、もしくはハノイの家は冬用にはできておらず隙間が多いせいか、温度以上に寒い。まさに底冷えする感じである。 

今年の冬はことさら寒い。実際通常の冬より気温も低いようであるが、私の今の事務所は大学内にあるので暖房が全くないこともある。いやいや、体の芯から冷え切る感じである。大学の中に暖房があるところがないか聞いたところ、答えは「ない」。政府などではある一定の役職以上の部屋には暖房があるそうなので、せめて副学長の部屋くらいには暖房があるかと思い聞いたら、それも「ない」。こんな状態でみんなどうやって仕事をしているのかというと、とにかく着込む。会議などやると皆ダウンジャケットを着込んで出て着る。まるで冬山登山の会議のようだ。 

おもしろいのは、こうした中で「こんなのでは仕事の効率性が落ちる!」との声が高まり暖房が入る、という状況にはどうもならないことだ。大方の人の反応は、「冬は短いから我慢する」。家にも暖房がない人が多いようで、とりわけ暖房がないことを特別だとも思わないのだろうか。どうせエアコンを買うのなら、冷暖房両方ついているやつにすればいいのに・・・。どうもベトナムの人たちは妙なところでせこい。私は耐えきれずに小さなオイルヒーターを購入した。それを見て、大学の同僚たちがうちのアシスタントに「これいくらくらいしたの?」などと聞きにきているようだ。こうした違いを認識する人が増えれば、徐々に暖房も増えるのだろうか・・・。 

もうひとつ面白いのでは、タクシーである。この寒いのに、なぜか窓を少し開けて運転している人が多い。寒いから「閉めて」といって、少し暖かくなったなぁ、と思うと、おもむろに冷房のスイッチを入れる運転手もいる。話によると、ベトナム人のタクシー運転手は、暖房を入れると空気が薄くなると思っているとのこと。うーん、車の暖房もストーブのように燃料を燃やしていると思っているのだろうか。

20111月)

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