24.  Back to Malaysia - Another Home Country

先日、マレーシアはクアラルンプール(通称KL)で会議に出席する機会があった。マレーシアは私が4年半を過ごした第の故郷である。しかも20代後半の青春の時である!住んでいたのは南端のジョホール・バル(通称JB)なので、特にKLとなじみ深いわけではないのだが、マレーシアはマレーシアである。 

KL78年ぶりであろうか。ベトナムから来たせいもあるだろうが、とても都会に感じた。KLIA(国際空港)からは成田エクスプレスみたいな電車が街まで走っているし、スカイトレイン(一部地下鉄)やモノレールまである!道を横断すると車が止まってくれる!!ここはどこやらと迷っていると、「どこへ行きたいんですか?」と声をかけてくれる人がいる!!ショッピングモールのガードマンに道を尋ねると、笑顔で回答してくれる!!どけよ、ではなく、先に通ってください、の車のパッシングがある!! 

なんかこれだけ並べると、とっても自分が心貧しい人間になった気がしてくる。人が思わず笑顔で接してくれると思わず身構える自分が悲しい。マレーシアは私の最初の海外赴任地である。当時はとっても苦労した記憶ばかりだが、この10年でやはり発展したのか、それとも自分の基準が下がったのか・・・。JBも変わっているのだろうか。一度ぜひ再訪してみたいものである。家の近くにあったやる気のなさそうな動物園はまだあるだろうか。なぜか猿が檻の上に座っていたり、豹が脱走して、しかも脱走したその豹はひもじくて溝の中でうずくまっているところを発見されたりしていたけど・・・。 

そんなKLもただひとつ、タクシーだけはいまいちである。メーターがあるのに、「この時間は渋滞しているから10リンギット(マレーシアの通貨)じゃないと乗せないよ」などど勝手に値段を設定してくる。しかも、談合しているのか、周りのタクシーも一様に同じ対応。車も汚い。これは会議で出会ったマレーシア人の「タクシーの質は改善しないと国のイメージが悪くなるよねー。シンガポールなんかは、タクシーは観光客がまず接する国の顔だからといってちゃんと教育したらしいよ」と言っていたので、地元の人も同感のよう。タクシーはハノイの方がきれいかも知れないなー、でももっとひどいぼったくりタクシーも多いからやっぱりこれもKLの方が多少はましかもしれない。 

マレーシアの面白いところは、マレー系(65%くらい)・中華系(25%くらい)・インド系(7.5%くらい)が入り乱れる多民族国家であるところであろうか。一般的なイメージでは、中華系は他の民族から「ケチでせっかち」といわれ、インド系は「おしゃべりでお調子者」といわれ、マレー系は「なまけもの」といわれる。まあ、裏を返すと中華系は仕事もしっかりやって有能、インド系は技術系では強くて押しも利く、マレー系は癒し系、ともいえる。私は日本人としてそれぞれ場面で3民族に悩まされ、そして支えられてきたような気がする。例えば、中華系に悩まされるときは、マレー系に同情され、マレー系に悩まされるときは中華系と一緒に愚痴を言い・・・、といった具合に。一民族しかいなかったら、もしかしてとっても息が詰まっていたかも・・・などと、考えるとほぼ単一民族国家の日本や、金族が大多数を占めるベトナムには混沌とした中から出る大らかさがやや欠けている気もしてくる。そして、マレーシアの中華系もインド系も、それぞれの特徴を出しているが、本家ほどアクが強くない。例えばインド系の職員が仕事で数カ月インドに出張して帰ってきた後、「いやー、やっぱりインドのインド人はお調子者で大変だ。奴らには気をつけろ」と言っていたことがある。私は「お前がそういうならそうなんだろうなぁ」と、妙に納得してしまったものである。 

それにしても、他の国の発展に感心しているばかりではなく、自分も発展しなくては、などと思う今日この頃である。 

それにしても、KL名物Petronas Twin Towersは何かに似ているなぁ、と思っていたら、よく売っていたプラスチックカップに入ったソフトクリーム型アイスに似ている。うん。

200911月)

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