16. 発展途上国とヘルメット― 完結!?

2007年の1215日よりベトナムに驚くべき変化が起こっている。そう、何と一夜にして全員がヘルメットを着用し始めたのである。さすがに今回は政府も本気で、ヘルメット未着用者にはVND10万から20万(約700円〜1400円の罰金が科せられ、主だった通りや交差点に大量の警察官を導入して取締りをし始めたのである。しかも、バイクタクシーの運ちゃんも客用に予備のヘルメットを携帯しているではないか!これは歴史的瞬間だ!それにしても、前日までほとんどの人がヘルメットをかぶっていなかったのに、法律施行日から突然全員かぶるところはいかにもベトナムらしい。

  

ベトナム国内のバイク台数は約2100万台(2007年)で自動車の約100万台を大きく上回る。東南アジア随一の経済成長率を遂げる中、バイク台数は毎年200万台のペースで伸び続け、特にハノイや南部ホーチミンなど大都市では朝夕の渋滞が深刻化。交通事故の死者数は昨年、約12000人にも達し、1990年の時点から5倍以上に増えた、とのこと(産経新聞2008122日参照)。普通に暮らしていても二輪・四輪車の増加に伴い小さな事故は目に見えて増加していたので、政府も人々もここらがけじめ時、と思ったのでしょうか。実際うちの事務所のスタッフも12月には事故で足を骨折していました。また、ホーチミンはどうかわからないが、私のいるハノイの冬はそれなりに寒いので、実施を冬にしたのはよかったかもしれない。今ならむしろヘルメットをかぶったほうが暖かいかもしれないし、なれた頃に暑くなれば人々もヘルメット着用への抵抗があまりないかもしれない。 

だが、気になることもいくつかある。第一に、ヘルメットのかぶり方。大体において、ほとんどの人はフルフェイスではなく昔の「ライダーマン」型のヘルメットを着用している(古)。まあそれはまだ良いとしても、まず紐をあごではなく首につけている。これでは事故の時にずれてしまいますね。さらに、中には紐を結んでいない人もいる。これでは事故と同時にヘルメットも吹っ飛んでしまうので、ほぼ意味なし。第二は、安全とは関係ないのだけれども、髪形である。きょうびのベトナムの若者達も大分おしゃれになってきているのだが、ヘルメットをかぶればどんなに髪の毛をセットしてもぺっちゃんこになってしまう。それはまあ安全と引き換えにできるものでもないのだが、何とかならないものでしょうか。KO先生が支援している床屋さんも、「最近髪の毛をセットしにくる人が減ってしまった」と嘆いているとのこと。 

ヘルメット着用は歴史的快挙としても、やはり長期的には公共交通がもう少し発展し、交通手段の選択肢が増えなければ、ね。そういえば、来週にはホーチミン市で地下鉄第一号線の起工式が行われるとのこと。あと10年もすれば、ベトナムも『普通の国』になってしまうかもしれませんね。

 

<おまけ>

私がある日本人の会合に出席したときの会話。ヘルメットといえば・・。Aさんは、日本人形のようにとても黒くてストレートな髪をお持ちの日本人女性です。Bさんは、私の近くにいた日本人男性です。 

Aさん:   「こんばんはー」

私:         「こんばんはー、あれ、そのくるくるはどこで?(軽いパーマがかかってたので。既に日本語のボキャブラリーをかなり紛失しています。)」

Aさん:   「あのねー、その前に何か聞くことがあるんじゃないですか?」

私:         「え?」

Bさん:   「髪形変わったねー、とか」

私:         「あー。・・・で、そのくるくるは?」

Aさん:   「・・・・その前に、他に何か言うことはないですか?」

私:         「え?」

Bさん:   「きれいなったねー、とか」

私:         「あー。・・・で、そのくるくるは?」

Aさん:   「・・・・ハノイの美容院ですけど。いやー、髪があまりにまっすぐなので、ちょっとやわらかさを出そうと思って

私:         「おー、よかったねー、ヘルメット脱げたんだねー。(つまり、昔の髪型がヘルメットみたいだったという軽い冗談のつもり)」

Aさん:   「・・・・・・・・・・・・怒 ╬╬

 

・・・・・物事は、もう少し考えてから口にしよう。

20082月)

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