SDGsに貢献する
GRIPS修了生たち

SDGs達成に向けた政策の現場を支える人材を育成しています

<p>ルカーワ・ローライン</p>
<p> </p>
ジンバブエ

ルカーワ・ローライン

 

さん

Disaster Management Policy Program (2016)

ジンバブエダーウィン山地区マジェレジェレ栄養園における食糧配給プログラム (2018-2020)

GRIPSの 修士課程Disaster Management Policyプログラムを2016年に修了後、私はワールド・ビジョン・インターナショナルに入り、毎年干ばつや洪水の危険にさらされているジンバブエのダーウィン山地区で、国連世界食糧計画(WFP)が支援する食料調達 (Food for Assets (FFA)) プログラムを実施しました。

FFAプログラムは、災害によって引き起こされた短期的な飢餓の危機に対処する一方で、地域コミュニティが生産的資産を創出し、将来の災害に対する回復力を得るよう支援しています。私は、ダーウィン山の低地に位置するマジェレジェレ栄養園(Majerejere Nutrition Garden)創設を指揮しました。この園では、545人が生産的資産を創出するために働き、報酬として食糧を得ます。また、2ヘクタールの栄養園と0.3ヘクタールの果樹園を灌漑するために、太陽光発電によるボアホールを提供。この栄養園は直接的に75世帯、間接的には700世帯以上に恩恵をもたらしており、さらにここで生み出された資産は1000頭以上の肉牛にきれいな水を、そして乾燥食品に慣れた地域コミュニティの人々に、新鮮な野菜や珍しい果物を年間を通じて安定的に供給することができました。

このプロジェクトにより、人々の生計だけでなく、子どもたちの健康と栄養、家庭の食事の多様性、干ばつに対する回復力が大幅に改善されました。

 

Disaster Management Policy Program の詳細はこちらをご覧ください。

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<p>ムスバンダ・アプハミゲ・サナス・スシラ・グナセナ</p>
<p> </p>
スリランカ

ムスバンダ・アプハミゲ・サナス・スシラ・グナセナ

 

さん

Disaster Management Policy Program (2014)

ガルオヤ河岸の再建‐グリーン・パス・ソリューション

スリランカのガルオヤ川では、河床低下、堤防崩壊、河床上昇といったチャネル評価モデルの段階が見られました。河岸修復のための構造的解決策は、河本来の振る舞いや自然の法則に適応しない方法だったことから、多くが失敗してきました。

 

そこで2016年、木材杭とプランテーションを使用し、自然に即したグリーン(ソフト) 工法による河岸修復を開始。

まず、本流を侵食された堤防から満水位内でスムーズに本流を移動させることができました。この際、河川流の駆動力と抵抗力を同じに保つために、既存の斜面を維持することに特別な注意を払いました。侵食された部分は部分的に砂で再充填し、充填した部分が自然に変化するよう、チャネル形成や地質学的に有効な排水を行いました。

次にプランテーションを備えた、3つの平行な木材杭列を設置してその部分をより安定させました。木材杭が木片を溜めることで流速を遅らせ、土砂の移動性を低下させます。

 

その結果、現在河岸は安定しています。

また、このグリーンな方法による修復は時間がかかりましたが、一旦自然の一部となってからは持続可能な方法です。

 

Disaster Management Policy Program の詳細はこちらをご覧ください。

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<p>イムラン・アリ・スルタン</p>
<p> </p>
パキスタン

イムラン・アリ・スルタン

 

さん

パキスタンギルギット・バルティスタン州ギルギット開発局長
Young Leaders Program (2016)

パキスタン・ギルギット市の下水道システムと下水処理場の整備

ギルギットは、パキスタンの人口30万人の小さい山岳都市です。しかし、2016年10月、Young Leaders Programを修了して帰国後間もなく、ギルギット開発局の局長を引き継いでみると、下水および廃水処理設備がありませんでした。処理されないまま直接川に流れ込む廃水への対処が課題でした。こうした習慣は、水生生物にとって極めて有害なだけでなく、人間にとっても非常に危険でした。ギルギット川下流にはすでに多数のポンプが、同じ未処理の廃水を飲料水としていくつかの近隣地域の住民に提供するために設置されていたからです。保健省の報告によると、ギルギット市には下水道システムと安全な飲料水設備に関する規定がないため、水系感染症が日に日に増していました。

 

私たちはチームとして、一刻も早く対処を行う必要があり、下水道システムと下水処理場の設計、土木工事、調達、運用事業計画の政治的主導権を得ることに成功しました。私たちはコミュニティを結集して、下水処理場、ポンプ、下水設備などに必要な土地を取得するプロセスをサポートしました。資金準備のため、財務局と州レベルおよび連邦レベルで何度も綿密な会議を重ねて、プレゼンテーションを行った結果、このプロジェクトの優先度が上がりました。もう1つの取り組みは、プロジェクトの始動後、自律的な事業運営を行えるように、合理的な料金を設定するようにコミュニティに働きかけることでした。

 

以下は、プロジェクトを無事に完成させた後で達成する予定の主な目標の一部です。

  1. 下水および汚水処理施設を改善する
  2. 下水を川に排水する前に、国内環境品質基準の許容限度内にする
  3. 下水処理を行って、環境への悪影響を減らす
  4. 公衆衛生分野に関して、人々をあらゆる病気から確実に守る
  5. 自然水系を汚染しない
  6. 土壌資源と土地資源を汚染しない
  7. 未処理の下水を排水した結果、住民の健康に対して生じる不要な支出を予防する

 

私たちは1年のうちにプロジェクトが実現可能かどうかの調査を終え、環境保護庁からプロジェクトの許可を得、資金を確保し、国際競争入札を通じて調達を行い、中国、ドイツ、マレーシア、トルコから提案書を受け取りました。現在、プロジェクトの工事の真っ最中で、2022年6月に完了する予定です。

 

私の主導のもと、ギルギット開発局では巨大プロジェクトに加えて、都市基本計画、クリーン飲料水計画、固定廃棄物管理システム、ソーラー街灯の設置、歴史的遺産の修復/保全など、その他多くの非常に重要なプロジェクトも開始しています。

 

最後に、このプロジェクトでは、川の土手沿いの無計画な住居をなくすことで、市の全体的な環境を改善する予定です。現在、レストランのほか多くの給油所が建設されており、ギリギット川の水を含む環境全体が汚染されています。下流では多くの住民が川の水を飲料水として使用しており、水の汚染のために多くの人々が水系感染症に直面しています。このプロジェクトに着手することで、土地も遊歩道、観光スポット、サイクリング、キャンプやピクニック場へと変えることができます。その結果、ギルギット市の住民はレクリエーションや経済活動にいそしむことができ、国内外の観光客が集う観光名所が生まれるでしょう。

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<p>ジェシカ・ヒュパティア・ペレス・アレハンドロ</p>
ドミニカ共和国

ジェシカ・ヒュパティア・ペレス・アレハンドロ

さん

ドミニカ共和国国立地質調査所動的地震学部担当
Disaster Management Policy Program (地震工学) (2013)

プエルトプラタにおける地震脆弱性判断のための観測点依存性調査

このプロジェクトでは、国にとって極めて重要な建造物がある土壌の地質工学的特性を考慮しながら、観測点依存性調査を実施しています。

同様に、脈動の測定を実施し、地震記録およびさまざまな種類の土壌に対するその影響を分析します。このように、各種手法、主に土壌パラメータの1次元モデリングと2次元モデリングを利用することで、プエルトプラタ都市部の土壌の増幅値を取得できます。また、地域の地震災害に関するより正確な値も得られるようになります。都市部の一連の土壌マップと増幅率を準備し、土壌の動的応答を計算するための方法論的手順を確立します。これらすべてを実施することで、調査対象州にある重要建造物の地震脆弱性を最も効果的に判断することが可能になります。

本調査はさまざまなコンピュータプログラム(Besoil、Pshake)の利用によって支えられ、出力データは地理情報システム(ArcGIS)を使って処理されるため、データをインタラクティブに使用できます。

本プロジェクトは、ドミニカ共和国の地質調査所(SGN)を代表するYesica H. Perez、María B. Roque、Julio P. Bautista、およびキューバの国立地震研究センター(CENAIS)のZulima Riveraによって実施されます。本プロジェクトでの私の役割は主任研究員で、土壌の分析と観測点依存性の決定における活動を管理し、実施する責任を負っています。

本プロジェクトは、ドミニカ共和国のNational Fund for Scientific and Technological Innovation and Development(FONDOCYT)および地質調査所(SGN)によって資金提供されています。

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<p>津坂 卓司</p>
日本

津坂 卓司

さん

アジア工科大学院(タイ)自然資源エコノミスト
政策分析プログラム (Ph.D) (2011)
International Development Studies (Master) (2008)

サハラ以南のアフリカ地域における農村地帯の飢饉と貧困の削減

私は2015年から現在に至るまでの任期中、ICRISAT、IRRI、AITなどの国際組織を通じて、サハラ以南のアフリカ地域と熱帯アジアにおける飢饉と貧困を削減することを目的とした15以上のプロジェクトを主導し、参加してきました。いくつかの例を挙げると、McKnight FoundationとUSAID(Feed-the-Future)出資の「マラウイ、ザンビア、モザンビークにおける、省力化技術を利用した女性の単純重労働の削減とマメ科植物の収穫後作業の効率性の向上プロジェクト」では主任研究員(PI)を、CRP-PIM(IFPRI)出資の「マラウイにおけるラッカセイの収穫後損失に関する農場での評価プロジェクト」ではPIを、USAID(Africa Rising)、CRP-A4NH(IFPRI)、AusAid、およびTAPF出資の「タンザニア、ミャンマー、インドにおける、気候変動に対応した栄養価の高い作物による小児栄養の強化プロジェクト」では主席分析者を務めました。

プロジェクトの主導的役割のほか、農業経済学、技術採択、調査手法、影響評価、社会資本分析、モニタリングと評価に関する技術的な専門知識を有しています。私は、農村世帯と個人、および都市部周辺地域の世帯について20以上の調査を実施し、これらの調査を通じて、小農地所有者と小作労働者が食料と栄養を確保して、飢えと貧困から逃れる上で直面するさまざまな制約を、空間計量経済学、パネル回帰、混合法手法など高度な手法を使って分析して、証拠に基づく政策策定を発展途上国で実現させてきました。

つい最近だと、JICA-RI出資の「ミャンマー・マンダレーの都市部スラム地区における地方自治体による給水設備の社会経済的影響評価プロジェクト」で技術アドバイザーを、Toyota Foundation出資の「ベトナムとタイにおけるエコツーリズムと海洋プラスチック規制プロジェクト」で共同PIを、UNEP-WCMCを通じたUKRI出資の「コンゴ盆地諸国(カメルーン、ガボン、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国)、タンザニア、中国、ブラジル、インドネシアにおける農産物と野生生物製品の持続可能な貿易プロジェクト」で共同PIを、IDE-JETRO出資の「タイにおけるFDIおよびキャッサバの価値連鎖プロジェクト」で共同PIを務めました。

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<p>シディカ ラーマン</p>
バングラデシュ

シディカ ラーマン

さん

バングラデシュ政府 行政訓練センター長、
公共政策プログラム(2010年)

ウポジラ(「郡」の意)における貧困者リハビリイニシアチブ

キショアガンジ郡はバングラデシュ北部のニルパマリ県にある、発展の遅れた非常に貧しい郡です。204平方キロメートルに合計294,064人の人々が住んでいます。人口の多さ、失業者、非識字、意識の欠如、干ばつ、河川浸食、鉄砲水などにより、貧困が深刻化していました。女性、障害者、高齢者、少数民族を含む多くの貧困者が路上、オフィスエリア、市場、モスク、民家で物乞いを行っており、衛生、子供の教育、健康と栄養、社会的マナー、エチケット、文化の意識はありませんでした。彼らのリハビリを支援する組織は皆無でした。物乞いの人々は政府の社会的セーフティネットプログラムの対象外で、非常に痛ましい状態でした。飢えに苦しむことが多く、古くてすり切れた服をまとい、公民権、社会的尊厳がなく、悲惨な状態で生活を送っており、栄養不足のためにさまざまな種類の病に苦しんでいました。薬を買うお金もありません。子供を学校に送れず、経済的な危機のために児童労働をさせていました。彼らの大半は、今にも壊れそうなぼろぼろの、無防備な藁ぶき屋根の家に住んでいました。すべてが持続可能な開発目標の精神に反している状態です。上記のような状況の中、私は郡事務局長(Upazila Nirbahi Officer)に任命され、物乞いの人々のリハビリイニシアチブを引き継ぎました。私は政府代表者およびCEOとして同僚とともに、物乞いの人々のリハビリに向けた次のイニシアチブに着手しました。

1:議員、公務員、民間の従業員、市民社会のメンバー、路上の物乞いの人々を奮起させた。

2:調査を実施した結果、路上で物乞いをする人が979人いることが判明し、彼らのニーズを評価して、代わりになる職を20種類特定した。Kaizen Tea Gardenはそのような職場の1つで、毎日100人の労働者が働いている。

3:物資の配布と資金形成のために、地元の人々と中央政府からの資金を結集した。リハビリを受けた979人全員が「My Home My Farm」プロジェクトのメンバーになり、1500万バングラデシュタカの資金を形成して、Palli Shanchoy Bankに預けた。

4:雌鶏、アヒル、ヤギ、羊、牛のような家畜、さまざまな種類の物資を、生計を立てる活動のために配布した。

5:政府の社会的セーフティネットプログラム(老齢、寡婦、障害者手当など)に全員を加入させた。

6:雇用のためにKaizen Tea Gardenを創設した。

7:技能を培う研修と啓蒙活動を実施した。

8:政府のアシュラヤンプロジェクトから、790家族に家を提供した。

 

これらのイニシアチブを実施した結果、物乞いの人々の意識が変わり、物乞いによって失われていた社会的尊厳を得られました。物資を得、政府のセーフティネット保護に入った直後、生産的な活動を始めました。お金を稼ぎ、飢えをなくし、貧しさを軽減し、自立できるようになりました。

 

最後に、キショアガンジ郡には物乞いの人がいなくなりました。2016年、ナライル県の2人目の副総局長に任命された直後、同県でも物乞いの人々のリハビリプログラムを主導しました。物乞いの人々のリハビリ分野で多大な貢献をしたとして、バングラデシュ政府から「Public Administration Award 2017」を受賞しました。

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<p id=ニーナ-ミレラ・メルルチカ

 

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ルーマニア

ニーナ-ミレラ・メルルチカ

 

さん

ルーマニア国立行政研究所通信・プロジェクト・協力・渉外部長

持続可能な開発のための教育(ESD)

私はルーマニア教育省の公共政策部で働きながら、市民社会団体から政府間機関まで、ESDに関心を持つさまざまなステークホルダー間のコーディネータおよび連絡係として活動しました。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を促進する役割を担った作業部会の調整役となり、専用のウェブページ、プレスリリース、SDGsに貢献する機会のお知らせを通じて周知を行いましたが、最も重要な活動は、UNICEFと2つのルーマニアのNGO(Association REPER21(European Network for the Promotion of a Responsible Economy, 21st century)、Foundation for the Development of the Civil Societyと提携)とともに、17すべてのSDGについてルーマニア初のオープン教育リソースを作成したことでした。

さらに、教育省は上記のNGOとともに、ESDのための公共政策の策定を定めた協定に署名しました(2005年に採択された持続可能な開発のための教育に関するUNECE戦略の規定にある、ESDを実施するための国家的計画がルーマニアになかったため)。私の役割は、教育省とこれらの組織との間で調整役となって、ステークホルダー間の対話を促進し、政策立案のさまざまな段階で常にフィードバックを行うことです。最後に、公共政策に関する公開討論を企画し、関連する公的機関(政府からは環境省、持続可能な開発局)、自然科学研究所、大学、教育省の専門家などが集まりました。

その一方で、持続可能な開発政策を促進する他の機関や組織(たとえば、ルーマニアでの循環型で環境に優しい経済の開発に関する研究を行っているRomanian European Instituteなど。同機関は持続可能な開発の国家戦略を改訂する起草委員会に参加)と協力して働き、持続可能な開発の教育に関わる国際会議に教育省の代表として出席しました。

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<p>マイラ・ブラオン</p>
<p> </p>
フィリピン

マイラ・ブラオン

 

さん

オーストラリアニューサウスウェールズ州財務・サービス・イノベーション部門戦略マネージャー
埼玉大学大学院政策科学研究科(1998)

世界規模の持続可能な調達基準でサプライチェーンにおける問題に対処する

持続可能な調達基準ISO20400が52か国によって策定されています。その目的は、商品とサービスの調達を国連の持続可能な開発目標に合わせて確実に実施してもらうことです。この基準では7つの重要な主題を通じて、人権、環境、管理、社会問題に関する最重要課題に取り組んでいます。私の役割は、基準の策定においてオーストラリア政府の調達部門を代表することです。オーストラリアは総合的に、世界中から調達される商品とサービスへの最大消費国であり、多くの調達先で、無力な労働者が過酷な労働条件下で働いているからです。私はGRIPS修了生として、政策を利用して社会問題を解決する教育を受けており、調達はより大きな影響をもたらす上で重要な成功要因となります。

 

ISO20400の導入を受けて、自分の公共部門のキャリアをこの基準の推進に活かすことにしました。私は中央政府調達機関、NSW Procurementの立場を利用して、公共部門のスタッフや世界中のサプライヤに対してセミナー、記事を通じた働きかけ、研修を行っています。また、最も肝心な点として、NSW Procurementの政策の枠組み作りに貢献しています。ごく最近では、NSW(ニューサウスウェールズ州)の現代奴隷法に関する公開聴聞に積極的に参加しました。今は、調達の政策とプロセスが国連の持続可能な開発目標に対応するように、政府機関をサポートしています。

その結果、オーストラリア政府は、循環調達によって環境を優先するように大きく働きかけており、サプライチェーンにおける現代奴隷制の廃止、生産活動におけるその他の人権と労働の問題の解決に取り組み、アボリジニのサプライヤと先住民コミュニティの経済状態を改善できるように支援しています。ニューサウスウェールズ州でSmall and Medium Enterprises and Regional Procurement Policy(中小企業・地域調達政策)、Aboriginal Procurement Policy(アボリジニ調達政策)がISO20400に合わせて策定されていることを誇らしく思います。これらを実施するための勇気と能力を身につけることができたのは、GRIPSのプログラムで受けた訓練のおかげです。

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<p>アリシェール・エルガシェフ</p>
ウズベキスタン

アリシェール・エルガシェフ

さん

オーストラリアクイーンズランド農水産省シニアエコノミスト
Transition Economy Program (2008)

ウズベキスタンにおける青果の需給、食事の質、栄養に関する分析プロジェクト

本プロジェクトには、私が2017年にボン大学研究開発センターの博士課程で修了した研究が取り入れられています。この博士論文では、園芸産物の課題ならびに青果消費の決定要因を特定しました。さらにこの研究では、最終的にウズベキスタン人の栄養改善を支援するために、食事の多様性の概念を通じて食事の質を分析しました。この研究を行った理由は、農業、栄養と健康の分野における行政機関の意思決定者に証拠に基づく研究結果を提供することにより、最善な政策の施行を支援するためでした。

研究成果は、国内当局と海外のドナーコミュニティから大きな反響を得ました。特に、新しい政権下ではウズベキスタンの政治および経済体制の自由化が行われ、園芸部門に好結果がもたらされました。2016年にイズラム・カリモフの後継者となったシャヴカト・ミルズィヤエフ大統領の最も重要な経済改革は、過干渉な官僚による園芸事業の査察を3年間一時停止したことです。

2020~2030年の新しい国民健康栄養戦略を制定する際にこれらの研究結果が考慮され、現在、WHOとUNICEFの協力を得て保健省で草案が作成されています。健康な食事に関する私の推奨事項が、ウズベキスタンで施行される初めての栄養政策そのものになる可能性があることを大変うれしく思っています。

私の研究結果によって認識が高まり、新しい投資や海外支援を惹きつけています。たとえば、2018年1月には、世界銀行から園芸開発プロジェクトへの5億ドルの追加支援が承認されました。このプロジェクトは、ウズベキスタン国内の農業従事者への融資サービスを提供しやすくすること、種子と播種、節水灌漑、冷蔵設備、処理装置の購入を支援することを目的としています。2018年6月には、ウズベキスタンの全12地区における園芸バリューチェーン開発の強化支援を拡大するために、1億9800万ドルの追加融資がADBからも承認されました。

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<p>ヌオム・ソクホン</p>
<p> </p>
カンボジア

ヌオム・ソクホン

 

さん

カンボジア能力開発パートナーシップ基金 ( CDPF ) 教育部門 教育専門官
公共政策プログラム(2009年)

教育セクター改革のための能力開発パートナーシップ・ファンド ( CDPF )

カンボジアでは近年、特に初等教育レベルで、教育へのアクセスと参加拡大という大きな進展を見せているものの、特に教育の質と適切さ、高い留年率、退学率といった課題が残っています。同国の教育・青少年・スポーツ省 (MoEYS) がこれらの問題に積極的に取り組み、包括的な一連の改革を行っているにもかかわらずです。

 

MoEYSを支援するため、能力開発パートナーシップ基金 ( CDPF ) が、カンボジア政府、UNICEF、欧州連合(EU)、スウェーデン国際開発協力庁(SIDA)の協力により2011年に設立されました。SIDAによると、これまでの2フェーズ (2011~2017年) のCDPFの総予算は約3000万米ドルにのぼります。

現在は新規フェーズ(フェーズ3:2018~2023年)を実施中であり、6年間で総額3400万ドルの予算が見込まれています。フェーズ3では、Global Partnership for Education(GPE:教育のためのグローバル・パートナーシップ)およびUSAID(米国際開発庁)が新たなパートナーとして参加。カンボジアの子どもたちがより学習しやすい環境で、インクルーシブで公正な質の高い教育を確実に受けることのできる教育制度の強化を目指しています。

CDPFの全体的な目標は、ESP―教育戦略計画(ESP 2014~2018年及びESP 2019~2021年)を遂行し体系的な能力育成を通じて、教育部門のあらゆるレベルにおける効果的なリーダーシップと管理を可能にすることです。本プログラムは大規模なポートフォリオゆえ全国をカバーし、数千人ものMoEYSの職員が管理能力と指導力を身につけて男女平等を推進し教育における男女格差を縮小しようとリーダーシップを発揮しています。およそ100万人のカンボジアの子どもたちがこのプログラムから恩恵を受けています。

 

私はUNICEFの教育専門官であり、CDPFの事務局員として働いています。また基金の管理者として、計画立案、管理、契約、サービスや物資の調達、基金の管理、モニタリング、CDPF運営委員会への報告などを担当しています。CDPF運営委員会では、MoEYS、USAID、SIDA、EUが共同議長を務めており、私は3名からなるチームメンバーの1人として直接送金(DCT)を管理し、実施パートナー(IP)に様々な技術支援を提供しています。IPはMoEYSの27の技術部門と機関から構成されており、Volunteer Services Overseas(VSO)およびCARE-Internationalとの提携、ユネスコ国際教育計画研究所およびOxford for Policy Management(OPM)との機関契約の締結をしています。

 

GRIPSから得た知識と技能、特にプロジェクトサイクル管理と公共政策分析に関するスキルセットは、私の仕事に大いに役立つことを学びました。GRIPSの経営陣、すべてのサポートスタッフ及び教授の方々に心から感謝しています。

 

コミュニティ・プレスクール ( CPS ) の学習活動。村人の家にて

コミュニティ・プレスクール ( CPS ) の学習活動。村人の家にて

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<p>シディカ・ラーマン</p>
<p> </p>
バングラデシュ

シディカ・ラーマン

 

さん

バングラデシュ政府 行政訓練センター長、
公共政策プログラム(2010年)

貧困層の生活改善を目的とした
「カイゼン茶園」プロジェクト

私はバングラデシュにおけるさまざまなカイゼンプロジェクト(貧困層の生活改善、質の高い初等教育の確保、児童婚の防止、公衆衛生の普及など)に従事しています。

2015年、私が行政省の地方長官(Upazila Nirbahi Officer)であった際に立ち上げた「カイゼン茶園」プロジェクトは、ナライルという地区の人々生活改善を目的としたものです。この地区では高い失業率が問題となっており、その結果多くの貧しい人々が一軒一軒物乞いをしていました。「物乞いゼロ」を宣言した後、私たちはさまざまな方法で彼らの雇用機会創出につとめ、ウパジラ郡にあった広大な荒地を利用して2ヘクタールの茶畑を立ち上げることにしました。これにより、社会復帰をした彼らは、カイゼン茶園でお茶の世話をすることで日給を受け取ることができるようになりました。この地域で初の試みとなったカイゼン茶園には、遠くから視察の人々も来るようになり、この茶園を模倣した新たな茶園も作られ始めました。このプロジェクトは今後さらに雇用を増やし、経済・金融活動を加速させるものになると思います。貧困層の人々が大幅に削減され、SDGs達成に向かうと信じています。

シディカ2

この「カイゼン茶園」プロジェクトは、その後事業の採算性も高まり、2017年にはバングラデシュ政府から「行政アワード2017」も受賞しています。

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<p>アズマン・ビン・モウド・ユソフ</p>
マレーシア

アズマン・ビン・モウド・ユソフ

さん

マレーシア政府 女性・家族・地域開発省 事務局次長
GSPS – 公共政策プログラム(1999年)

女性や子ども、高齢者の活発な社会参加を促す戦略を統括

私はマレーシア政府 女性・家族・地域開発省の事務局次長として、女性、子ども、障がいのある人、高齢者、被災者、貧困者のほか家族制度を対象とした戦略事項の責任者を務めています。政策の策定や見直し、ガイドラインの制定、アクションプランの策定など、さまざまな業務に取り組んでいます。
具体的な業務内容としては、
①国家発展の担い手かつ受益者である、女性、家族、地域の参加と活発な役回りを促す
②女性、家族、地域の権利を守り、差別のない公正な社会を築く
③社会、経済、政治的現場での女性と社会の平等な機会拡大家族制度の強化
などです。

予算の合理化によって、今後は改革に関することや、コミュニティ組織・民間セクターなど政府関連以外のさまざまな関係者との戦略的連携に重点が移り、業務はより困難なものになると思います。これまでのようには行きません。多くの創造的な解決策やプランが求められることになると思います。政府官僚やコミュニティは、国の持続可能な開発という目標に従い、福祉国家からより生産性を重視する国家にシフトするといった、今後の改革に向けた方向転換を迫られることになります。

GRIPSでは特に公共政策の分野で数多くの優れた演習を受講しましたが、有益な政策を導入する上でモデルとなるような多種多様な政策事案を検討する機会に恵まれました。こうした経験が実を結び、現在非常に役立っています。

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<p>トニー・ヘル</p>
カンボジア

トニー・ヘル

さん

カンボジア水資源気象省 トンレサップ湖管理当局
事務総長
公共政策プログラム(2003年)

トンレサップ湖周辺地域の持続可能な管理・保護・開発

私は閣僚評議会傘下にあるトンレサップ湖管理当局(Tonle Sap Basin Authority)で、戦略的計画の作成や連携、トンレサップ湖地域の管理・保護・開発に関する政策を担当する企画連携局長を務めていましたが、2009年に抜本的な行政改革の一環として、トンレサップ湖管理当局はトンレサップ湖局(Tonle Sap Authority)に改称しました。その際、水資源気象省の管轄となり、2013年からはトンレサップ湖事務総長となりました。

私の主たる業務は日常業務の管理に加え、各種省庁・研究機関・地元当局・国内外の組織・NGO・市民団体等との協調、情報交換、連携により、トンレサップ湖地域の持続可能な管理、保護、開発を行うことです。これまで実践を通じて学んだことから、これからの10年、カンボジアではどのようなものが主要な商機になるのかがわかるようになってきました。衣類の輸出、不動産、建設事業の活況により経済は成長し、カンボジアは近年、アジアの新興国経済の中で急速な発展を遂げている国として挙げられています。今後はASEAN諸国とアジア太平洋地域の諸国の経済連携により、輸出拡大の機会がもたらされ、世界的なサプライチェーンの統合が進み、セキュリティや文化、観光など、さまざまな分野が多様化し、発展が促されます。

これからの数年間で、カンボジアにはさらに多くの開発機会がもたらされると思いますが、農村部と都市部の発展における格差の拡大、現在も続く国境地域の紛争の結果生じている政治的対立、天然資源の採掘による気候変動など、カンボジアは依然として重大な課題を抱えていくことになると思います。私の業務においては高い水準の意思決定が必要となりますが、GRIPSで学んだ知識と経験に改めて感謝しています。

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