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リサーチ・プロジェクト

2019/6/1 ~ 2020/3/31

農業技術研修における内発的参加動機と外発的参加動機の役割とその効果

研究代表者

長らく農業生産の低成長が続いたサブ・サハラアフリカ(以下アフリカ)にとって、技術進歩を通じた生産性の向上は、喫緊の課題となっている。先端的な農業技術を普及させるための基本的なアプローチは、普及員によるトレーニングである。しかし、どのような方法でトレーニングを実施することが技術の採用・定着・普及という観点から見て費用対効果を最大にするのか、未だに十分にわかっていない。

本リサーチ・プロジェクトは、国際開発協力機関が途上国において技術協力を行う際に想定している仮説(トレーニング参加者に対し金銭的インセンティブを与えることが農業技術の普及や定着の障害になる)の現実妥当性を明らかにするために必要な予備調査を行い、その知見をもとに科研費への申請を行うことを目的とする。

先進国による技術協力の現場では、金銭的インセンティブに「釣られる」トレーニング参加者の学習動機は低く、その後の技術採用率は低いと想定されることが多い。しかし、この点の理論的帰結は必ずしも一意ではなく、金銭的インセンティブの付与がその後の広範囲な普及を促す展開も考えられる。そこで、科研費プロジェクトでは、ランダム化比較試験(RCT)を用いた実証研究を行い、代替的な理論の現実妥当性を具体的に検証する。効果測定に加え、結果に至るメカニズムを解明するよう実験をデザインすることにより、農業技術普及研究に対する学術的貢献を果たすとともに、より高い効果をもたらすトレーニングデザインの提言につなげる。