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リサーチ・プロジェクト

2013/4/1 ~ 2015/3/31

ネットワークと集積の経済に関する一般均衡分析

研究代表者

project2013NH_2本研究は、空港、港湾、鉄道、および道路等からなる交通ネットワークの整備とその運用方法に関する政策分析のための理論的・計量的フレームワークを元にし て、知識ネットワークの分野にまでその範囲を広げつつ、ネットワーク形成とその利用に関して具体的な政策的含意を導き出そうとするものである。 

 

各国経済が高度に発達しそれらが綿密に連携するグローバル化の波の中で、欧米はもとより、成長著しいアジア諸国も、自国をグローバル経済の中心に据えよう としのぎを削っている。特に交通の分野では、いかにしてハブとなるか、あるいは、ハブを誘致するかが重要視されている。これは、大規模空港・港湾を建設 し、そこから後背地へ向けて波及する流通や生産・消費の増加を期待してのことである。ハブを持つことで、自国内の資源をより効率的に利用できるようになる だけでなく、直接投資等によって外国の資源をさらに取り込むことができる。

 

日本では、しかしながら、自由度の低い民営化(成田)や効率化のための形式的経営統合(伊丹-関空)を 行ったものの、国際空港の整備はアジア地域の中でダイナミックさに欠け、また、その配分や計画が非常に非効率である。ハブやそれに直結するインフラである 羽田空港や新幹線・首都圏高速道路網の容量が圧倒的に足りないにもかかわらず、地方には小規模空港が乱立し、利用者のいない高速道路・高規格道路が延長さ れ続ける。少子高齢化の進展と低成長、硬直化した国家財政の中、もはやこれ以上非効率な投資を続けるわけにはいかない。東日本大震災で失われた路線の復旧 の是非にまで踏み込まなければならない。

 

伝統的に、こうした交通ネットワークに対する経済学的な分析は、大きなネットワーク上の様々な経済現象を個別の問題に切り分けた形で行われてきた。ところ が、ネットワークの経済効果がある以上、個別問題の最適解は全体の問題の解とは一致しない。そこで、これまでの政策研究センターや科研プロジェクトで構築 してきた「空間均衡フレームワーク」を用いて、一般均衡的に全体的に整合的な形で分析と政策的含意の吟味を行う。

 

  1. 交通と産業立地の相互作用の理論的研究
  2. 複数均衡のもとでの均衡選択
  3. 交通の費用便益分析における部分均衡モデルと一般均衡モデルの比較
  4. 静脈ネットワークにおけるリサイクル拠点の役割

 

といった具体的な政策課題に密接に関連する研究を進め、また、動学的・静学的な一般均衡分析のために必要となる、数値計算フレームワークについても平行して構築する。