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リサーチ・プロジェクト

2019/11/1 ~ 2020/3/31

農業・食品生産の国際分業と国内協業

研究代表者

 TPP妥結以降、日本の農業分野は大きな岐路に立たされている。国内保護は持続不可能となり、180度方向転換して、輸出促進や品種改良、食品加工等の製品差別化によって生き残りを目指すこととなった。本研究では、これらの代替戦略が、本当に日本の農業を救う道なのか、また、国内消費者の農産物・食品消費の質と量の向上を通じて厚生の改善も達成できるのかを経済モデル分析する。農産物の差別化度合いや農家の異質性を考慮した応用一般均衡(CGE)モデルと呼ばれる世界経済モデルを構築して、シミュレーション分析によって明らかにする。

 農家経営統計調査の個票データを用いて、農家の生産性と生産物の差別化度合い(品種改良、消費者の好み)をミクロ統計的手法で計測する一方で、マクロ・モデルを用いて貿易自由化をシミュレートする。近年、製造業のグローバル・バリュー・チェーンを通じた国際分業の分析にこの手法が用いられ始めた。同様の手法を農業・食品分野にも応用して政策分析する。農業・食品分野の既存の経済分析は、コメや小麦等の穀物中心であった。しかし、今般の新しい農政では、野菜・果樹、畜産品、それらの加工食品が重要な役割を果たす。これらに焦点を当てて、新しい農政を数量的に評価する。