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リサーチ・プロジェクト

2016/5/25 ~ 2017/3/31

災害危険区域内における建築物補強に関する政策研究

研究代表者
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災害危険区域は、全国で2万か所以上指定されており、住宅等の新規建設は制限されているが、現在も多くの住宅等が存在している。2011年の東日本大震災、2014年の広島豪雨災害その他の多くの災害でも、災害危険区域内の住宅等が被災する事例が見られた。2016年の熊本地震においても、詳細は今後の調査を待つ必要があるが、土砂災害のおそれのあった地区において被害が発生している。これまでの政策は、それらの住宅等を地区外に移転させることに主眼を置いて誘導措置や規制措置を講じてきたが、現実には災害が起こってからでないと地区外移転は進まない。

 

 近年、各地で移転を伴わない対策として、災害危険区域内の建築物の構造的強化や避難場所の確保に主眼を置いた対策が見られるようになってきた。これは、災害の恐れのある地域全体を事前に集団的に移転させることが困難なことを踏まえての対応と考えられる。例えば、より多く指定されている土砂災害の危険のある区域でも、移転したくない住民に対して新たな考え方(Adaptation)として、一定の基準を満たす住宅等の建築を認めたり、住宅の一部屋だけを補強するなどの方法がある。

 

 本研究では、国、県や市において取られているこのような考え方に基づく対策を調査、比較分析するとともに、いくつかの代表的な防災対策事例を調査、検証することにより、災害危険区域内でとられている既存の政策の課題とそれぞれの災害特性に応じた国、県及び市町村としての今後の対応の可能性を明らかにすることを目的とする。