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リサーチ・プロジェクト

2014/4/1 ~ 2016/3/31

婦人科サービスへの需要と母子保健に関する実証研究

研究代表者

  この研究は、ウガンダにおける婦人科サービス(妊婦健診、分娩、新生児検診、避妊薬の購入など)やその他の医療サービスの利用状況と家族の健康状態が、簡易な貯蓄サービスを提供することによって改善するか分析する。特に、将来科学研究費等の外部資金を獲得するための事前分析として、(1)婦人科サービスや医療サービスの利用促進に有効と考えられる新しい政策(貯蓄サービス)の詳しい形態、(2)現地の研究協力団体、(3)Randomized Control Trial(RCT、ランダム化比較試験)を行う地域・グループの三つを特定することを目的とする。

 

 国連のMillenium Development Goal(MDG)に示されているように、母子保健の向上は広い意味での貧困削減・社会発展に繋がる重要な政策目標である。特に妊婦死亡率や新生児死亡率を下げることは喫緊の課題とみなされているが、ウガンダを含むサハラ砂漠以南のアフリカなどでは、未だに深刻な状態が続いている。妊婦死亡率や新生児死亡率を低下させるためには、定期的な妊婦健診や設備の整った医療施設で分娩することが望ましいが、こうした基本的な医療サービスさえ利用しない女性が多く、どのように利用者を増やすかが重要な政策課題である。

 

 先行研究では、分娩費用を補助する政策や看護婦・助産婦に報酬を与える政策をとっても、分娩サービス利用度はあまり増加しなかったことが報告されている。(Urquieta et al., 2009、Powell-Jackson, Hanson 2012)。しかし、目的をもって貯蓄することを促す政策を施すと予防医療行動が促進されたという報告もある。婦人科サービス利用や急な医療支出のためと使途を明確にした貯蓄サービスを提供すれば、家族の支出計画をはっきりさせサービス利用や健康促進に繋がるかもしれないと考えられる。

 

 さらに、多くの途上国では家計長(多くは医療サービスを必要とする本人の夫や父親)が医療サービスを受けるか否かを決める場合が多い。このため妻や娘が医療サービスを受けたいと思ってもそれが需要として現れない可能性がある。この重要性について調べるため、夫婦を調査のターゲットにし医療サービスや貯蓄の重要性に関する情報とともに夫婦協調の大切さを説く集会を村レベルで行うという政策を考える。