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リサーチ・プロジェクト

2020/6/15 ~ 2021/3/31

マレーシアにおける新たな社会亀裂と政党システムの相互作用をめぐる地域間比較

研究代表者

 

 

マレーシアは、政府主導の開発戦略で著しい経済発展を遂げたが、先進国入りを前に「中所得国の罠」 、国内格差、社会保障など山積みの政治的課題に苦闘している。本研究では、急速な経済成長ゆえに直面している政治的・社会的困難を、①社会的亀裂の変化と、亀裂をマネージして安定を維持しようとする政治的対応、②その結果としての政党システムの流動化という観点から分析する。なお、変化の主要因としては、最も重要だと判断される経済成長のインパクトに注目する。本研究を実効的に進めるために「政党システムと社会変化」「経済成長の社会的インパクト」の両側面から地域間比較する。具体的な地域として、マレー半島西海岸の高開発地域のペナン州と同東海岸の低開発地域のクランタン州・トレンガヌ州を比較する。高開発地域の前者は、華人が多くかつマレー・インド人すむ混合地域に対して、低開発地域の後者は住人の95%以上がマレー人かつイスラーム野党が強いマレー州で、社会問題、政治的不安定化という複合問題が異なる形で表出し、問題の根幹が浮き彫りになると考える。その結果より、マレーシアの抱える政治的・社会的困難の実態と今後の課題を展望する。