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リサーチ・プロジェクト

2010/4/1 ~ 2012/3/31

イノベーション政策のエビデンス評価プロジェクト

研究代表者

近年、わが国においても政策の評価と検証の必要性が急速に高まりつつある。科学技術・イノベーション政策すなわち、研究開発補助金、特定分野への資金の重点的配分、産学官連携の推進、知的財産権の強化、クラスター育成政策、研究開発優遇税制、等々の分野においても、個別政策の論理的根拠と政策目標を明らかにし、実際に生じた効果を客観的に評価し、それに基づいて廃止・縮小・改良・拡大等の判断を行っていくことが求められている。しかしながら、諸政策の理論的根拠の理解不足や、政策レベルとプログラムレベルの目標の乖離、評価の基礎となるエビデンス・データの収集・蓄積の不十分さ、政策目標達成度の判断基準の不明確さなどの問題から、評価と検証は進んでいないのが現状である。
例えば、民間企業の研究開発に対する補助金については、経済理論では基礎的研究開発ではスピルオーバーが多く発生し、それゆえ民間に任せておくと過少投資になりがちなことから、公的資金の投入が正当化されると考えられている。これに対し、個別のプロジェクトのレベルでは採択時にプロジェクト目標の達成度の判断基準が設定されるようになってきたが、プログラムあるいは政策全体として実際にスピルオーバーがどの程度生じているのか、また補助金を受けた企業と受けなかった企業でどのような差があるのか、あるいは企業行動がどのように変化したのかなどの評価・分析は十分に行われていない。また、科学技術・イノベーション政策は本来、短期的効果と中長期的効果の両面から評価されるべきであるが、その評価のためのフレームワークも整っていない。
本プロジェクトは、各政策についてロジックモデル(理論的背景や正当性の根拠・構造)を構築するとともに、政策レベル/プログラムレベル/プロジェクトレベルなどの階層別目標の達成度の評価がどの程度行われているのかを分析する。そして、短期・中長期の両面から実証的な評価研究を行うことにより、エビデンスに基づく評価のフレームワークを提示することを目的とするものである。