政策研究大学院大学（GRIPS）では、2018年10月22日～10月31日の10日間、ベトナム党幹部等20名を対象に、日本の行政システムやリーダーシップなどに関する研修を実施しました。今回はベトナム共産党中央組織委員会からの依頼を受けて、独立行政法人 国際協力機構（JICA）の協力を得ての開催となりました。

同研修では、ベトナム側から要望があったテーマに沿って、主にグッドガバナンス、経済発展、リーダーシップの3つを柱に、講義や訪問を行いました。

講義では、研修責任者の堀江正弘名誉教授（グローバルリーダー育成センター所長）をはじめ、本学の田中明彦学長、園部哲史副学長、高田寛文教授、森地茂アカデミックフェロー、大野健一教授のほか、人事院の吉田耕三人事官、慶應義塾大学の小林光教授が講師となり、日本の行政改革、公務員倫理、汚職対策、グローバリゼーションにおける国際関係、日本の近代化と発展戦略、地方自治と国・地方関係、公共投資とPPP、中小企業支援政策、ベトナムの生産性向上への提案、公務員の評価・給与制度、環境政策と持続可能な開発、リーダーシップと政府に対する信頼性等について、幅広く日本の経験を中心に取り上げました。ベトナムで要職に就く研修生からも、活発な質問や意見が出される場面が多々見られました。

講義のほかに、都内では総務省を訪問し、白岩審議官より行政評価と行政相談について、方（かた）室長より行政不服審査に関する講義を受けました。ベトナムで同様の業務を管轄する研修生を中心に、具体的な運用の問題点や疑問について質疑応答を行いました。また、自民党本部及び外務省を表敬訪問し、日越間の友好を深めました。

訪日中には、本学の工藤年博教授と共に石川県（小松市・金沢市）を3日間訪れ、北陸AJEC（北陸環日本海経済交流促進協議会）のご協力のもと、中村留精密工業株式会社、コマツの杜、コマツマテーレ株式会社を訪問させて頂いたほか、北陸AJECとの共催で経済界幹部の方々約120名を対象とした経済セミナーを行い、研修団からもベトナムの経済情勢について講演を行いました。セミナー後のレセプションでは、北陸地域でベトナムとつながりのある企業の方々のほか、金沢大学や福井大学などのベトナム人留学生10名と交流する機会があり、親睦を深めました。3日間の地方訪問中、多くの方々に温かく迎え入れて頂き、兼六園や金沢城、近江町市場を訪れ、日本の様々な側面を知ることができたようです。

最終日には、講義や訪問を通して印象に残ったことと、今後どのように業務に活かすか、1人ずつ抱負を述べて、修了式を行いました。

研修生にとって充実した10日間になったようです。