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2016.3.8

キャリアとしての世界銀行 – 世界銀行・政策研究大学院大学共催キャリアセミナー「グローバル社会に求められる人材とは?」

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(取材・文責:企画室広報担当)

本学は、国際舞台で活躍できる高度な技倆と広い視野を持った人材の養成を目的に掲げている。8割以上の講義・研究指導は英語で行われ、国際人材養成を志向した多様な学位プログラムを提供している。世界66の国と地域から集まった本学の学生の多くにとって、自国の政府機関や研究機関に加え、世界銀行や国連などの国際機関は主要なキャリアオプションのひとつだ。

 

3月8日(火)、本学の想海樓ホールにて世界銀行と本学の共催によるキャリアセミナー「グローバル社会に求められる人材とは?」が開催された。

 

世界銀行と本学は、こうした共催セミナーの実施にとどまらず、多様な面で協働してきた。本学の学位プログラムPublic Finance Programは、開発途上国の租税政策への知的支援の観点から、将来租税政策分野で責任を負うこととなる若手行政官養成のため、創設以降から世界銀行と日本政府の支援により実施している。また、エチオピア、ベトナム及びタンザニアの産業発展に関する共同研究も実施した。

 

本セミナーでは、世界銀行ショーン・マクグラス副総裁、ウェイ・ワン人事局長、塚越駐日特別代表、菅日本代表理事を迎え、世界銀行のミッションと採用についてのプレゼンテーションが行われ、後半のパネルディスカッションには本学の高木佑輔助教授と博士課程学生の大石陽子さんと田中友実さんがパネリストとして参加。会場からの質疑も交え、世界銀行の採用・人材について質疑応答・意見交換がなされた。セミナー冒頭では、塚越駐日代表が、「この会場にお集まりの方の中から一人でも多くの方が、開発途上国における貧困撲滅と繁栄の共有のためにともに働いてくれることを期待する」と挨拶。また、本学白石学長は、国際機関で働く日本人の数が少ないことを指摘、本学の国際人材養成について説明し、本日のセミナーで国際人材としての資質を学んで欲しいとの期待を述べるとともに、世界銀行と本学の協力関係を紹介、謝辞を述べた。菅理事からは、世界銀行と日本のパートナーシップについて紹介があり、本セミナーで世界銀行の活動に興味を持ち、将来の活躍の場として世界銀行を考える機会として欲しいと述べた。

 

会場には国際機関で働くことを目指す学生を中心に多くの参加者が集まった。世界銀行への志願者は毎年約5~6万人に及び、非常に厳しい採用競争下にある。ショーン・マクグラス副総裁は、都市化、高齢化、紛争による人口移動等により、変容しつつある世界の開発課題と、その課題解決に取り組む世界銀行の活動と成果を説明、その上で、世界銀行職員に求められる4つの人材像を紹介し、クライアントや国際課題の多様化・高度化に対応できる、高度な専門性を有した才能豊かで情熱のある人を求めていると強調した。

 

また、世界銀行では、スタッフの国籍・能力の多様性がクライアントの問題解決を促進するとの考えに基づき、世銀に在籍するスタッフ数の比較的少ない日本からの採用に力を入れている。質疑応答では、何故敢えて日本人のリクルートミッションが必要なのかという質問が挙がったが、マクグラス氏よれば、日本人にしかないユニークな才能を求めているという。例えば、防災、金融、銀行部門における日本の経験は、日本以外の国では手に入らないものも多く、そうした経験に基づく才能を他国の技術と組み合わせたいと考えているという。

 

セミナーの中でマクグラス氏と高木助教授が言及したように、戦後日本の高度経済成長を考えるうえで、1953~66年の世界銀行からの低金利融資の果たした役割を無視することはできない。1990年に借入金を返済し、今やアメリカに次いで第二位の出資国に転じたが、次に世界に求められている日本の役割の一つは、日本のユニークな才能を国際機関などを通じて、世界の貧困削減に役立てる人的協力なのだろう。

 

参加した本学の学生の一人は、世界銀行が求める人材像や採用スケジュールについて非常に具体的に理解することができ、今後どのようなスキルを伸ばしていけばよいかが明確になったと話し、今後の自身の能力開発に意欲を示していた。また、マクグラス氏は、国際舞台で働く者として、パートナーやクライアントに一緒に仕事がしたいと思われるような人間であることが、学位や才能と同等に重要なことだと強調した。日本人と留学生、多様な学生が相互交流の中で切磋琢磨する本学の環境下で獲得できるのは、学位や技術だけではなく、国際人材としての成長であろう。

 

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