同窓会

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USAID-DRDF 酪農プロジェクトの概要

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USAID-DRDF酪農プロジェクトの概要

2011年7月15日– 2017年1月18日

 

プロジェクトの目的:

 USAID-DRDF酪農プロジェクトの目的は、貧しい小規模酪農家およびそのコミュニティで生活する若者の収入を最大限に向上させることです。そのためには、酪農および家畜管理に関する農家の技術を向上させるとともに、農場のインフラを改善するための資源を利用しやすくすることが必要です。また、これらの酪農家が働いているコミュニティに所属する失業中の貧しい若者に対して、雇用につながる酪農改良普及技術の教育を行い、必要な設備、物資、顧客を獲得できるようにすることで、彼らが自営業者となり、生計を立て、社会経済的地位を向上させることを可能にします。また、本プロジェクトでは、酪農バリューチェーンにおける農家、資源供給業者、サービス提供業者(金融サービス会社を含む)の間の商業的関係の支援も行います。

 

プロジェクトの内容:

 酪農プロジェクトは、USAIDとネスレ・パキスタン社の官民連携事業として、自給自足農業に縛られ、なかなか貧困から抜け出せずにいるパキスタンの小規模酪農家の経済的生活を向上させる目的で計画され、目的達成のため、独自のソリューションと現地の実施パートナーが決定されました。

 

 実施パートナーとして選ばれたのが、現地の非営利組織であるDairy and Rural Development Foundation(DRDF、酪農・農村開発基金)です。本プロジェクトは、5年間のうちに49,000軒を超える小規模酪農家に支援を行いましたが、当初は酪農生産における最良事例(ベストプラクティス)の教育と、バリューチェーンというアプローチの採用に焦点が当てられました。同時に、失業中の現地の若者を改良普及サービス提供者として酪農のサプライチェーンに組み込むことも重要でした。具体的には、これらの改良普及サービス提供者は、人工授精、飼料、治療・予防医療などのサービスを提供するほか、大きな乳加工会社との契約を確保し、牛乳の販売によって安定したキャッシュフローと収入が保証されるように計らいます。

 

 第1段階では、小規模酪農家は、牛乳の生産量を改善したり、牛の在庫を管理したりするための技術に関する教育を受けました。第2段階では、小屋を改築したり、保存用のコールドチェーンを確立したり、農機具を購入したり、人工授精、飼料、サイレージ、治療・予防医療といった改良普及サービスへの支払いに充てたりするための、費用分担助成金や小規模金融が導入されました。

 

 改良普及サービスの市場を商業的に軌道に乗せるため、中程度の教育を受けた6,000人の失業中の女性に対し、医療や餌やりに関する物資やサービスを提供するための訓練が行われました。同様に、2,500人の若い男性に対しても、人工授精サービス提供者となるための訓練が行われました。これらの専門職訓練は、いずれも非常に高名な獣医科大学の監督下で行われ、サービスの質の信頼性や確実性を高めるため、個別の試験および認証プロセスが導入されました。

 

 本プロジェクトではまた、小規模酪農家、資源供給業者、サービス提供業者(金融サービス会社を含む)、高級乳加工会社の間の、商業的に持続可能な関係を促進しました。また、デモンストレーション効果を生み出し、行動変化を浸透させるため、118の酪農場に改良を施してサービスと物資の拠点としました。

 

 同時に、文化を考慮した福祉活動も展開されました。その一つの例は、どのソーシャルメディアのプラットフォームでも自由に共有でき、どの携帯電話でも視聴することができる、5~6分間の訓練用動画です。プロジェクトではまた、長期的な行動変化を生み出し、小規模酪農場のマネジメントを変化させるためには、子供と女性の意識を高めることが同じように重要であると考え、30分間の劇を制作し、「ストリートシアター」としてコミュニティ内で生公演を行いました。演劇の舞台はトラックの上に設置され、このトラックは2年以上にわたって役者や出演者とともに路上で公演を続けました。これらすべての福祉活動により、さらに100万人の農業従事者にメッセージが伝えられました。

 

re_Farmer with extension worker at his farm re_A training Session for Women Extension Workers

    農家を訪問する改善普及サービス提供者           改善普及サービス提供者の訓練を受ける女性達

 

2017年1月の完了時点におけるプロジェクトの成果

  • 参加した小規模酪農家の売り上げが950万ドル増加しました。
  • 49,430軒の小規模酪農家に対して酪農のベストプラクティスに関する直接の訓練および支援を行い、高価格で牛乳を購入してくれる業者との関係を構築することにより、牛乳生産量を17%増加させ、家計収入を10%以上、平均で1か月当たり60ドル増加させました。
  • 8,523件の新規雇用を創出しました。
  • 2,489人の失業中の貧しい若い男性に対して人工授精技術の訓練および支援を行うことで、29,000の村の農家にサービスを提供し、月平均80 USドルを稼ぐ自営の繁殖改善サービス提供者として独立させました。
  • 同じコミュニティに所属する6,034人の失業中の貧しい女性に対してその他の改良普及サービスを提供する訓練および支援を行うことで、最初は平均月収17ドルの自営のサービス提供者として独立させました。平均収入は低いものの、これは彼女たちに当初想定されていた以上の文化的な力を与える、大きな文化的・社会的変化です。
  • パートナー組織であるDairy and Rural Development Foundation(DRDF)の能力開発事業により、一貫したサプライチェーンを確立しました。DRDFは、プロジェクトで訓練を受けた人工授精技術者に対し、繁殖用製品を安定して供給しています。
  • プロジェクトは広く認知され、酪農のベストプラクティスは300万人もの農業従事者に伝えられました。また、継続的な学習を促進するため、携帯電話で視聴可能な現地言語での動画による訓練教材が作成されました。
  • 戦略的に選択された、改良の実例を示す118の農場が、サービスと物資の拠点として活動しています。
  • アメリカ企業が開発した技術、図面、設計を無償で利用することにより、業務用の2つのバイオガス工場が稼働を開始しました。
  • 現在、4つの農業大学および獣医科大学に専用の受付が設置され、すべてのプロジェクト関連の訓練資料とM&Eデータが、研究者、学生、農業従事者、教員に対して無償で公開されており、シラバスとカリキュラムの改善につながっています。
  • 現地の非政府・非営利組織Dairy and Rural Development Foundation(DRDF)が成長し、プロジェクト終了後もその活動を継続していくことが財政的に可能になりました。同組織は現在も活動しており、パキスタン各地の5,000を超える村の小規模農家にサービスを提供しています。

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