同窓会

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ALMO 2011.3

Rozian01Ahmad Rozian Abd. Ghani, マレーシア

在日マレーシア大使館マレーシア外務省参事官・大使館首席公使
Young Leaders Program (’04)

 

 

 

 

 

 

―あなたの専門分野とその分野に従事するに至った経緯を教えてください。

 

外交官はいわば「オールラウンドプレーヤー」です

 

私は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のクアラルンプール支局に短期間勤めたあと、1994年にマレーシアの外務省に入省しました。国際関係と外交に興味を持つようになったのは、UNHCRに勤務していた頃のことです。外交官は何でもこなす、いわば「オールラウンドプレーヤー」であることが求められるので、専門分野に特化するということはあまりありません。私は、マレーシアの外務省(Wisma Purta)に入省後、本部およびブダペスト、アルジェ、東京3都市のマレーシア大使館において二国間問題を担当してきました。ですから、そう言った意味では、私は多国間関係の専門家というよりは、二国間関係の専門家であると言えるかもしれません。

 

 

―Ghaniさんは、現在東京のマレーシア大使館で2番目に高い階級である首席公使とマレーシア外務省の参事官を兼任され、その4年間の任期を終えられようとしています。 主な任務や職務はどのようなものでしょうか。

東京での役職は、今まで就いてきたポジションの中でも間違いなく一番忙しいものだと思います。この4年の間に、私はマレーシアの現首相および前首相、副首相、その他の閣僚、上級公務員の来訪に対応してきました。また、各方面からの日本人関係者に対して講演行 い、国民の日に日本の新聞に寄稿する特命全権大使のメッセージやその他の演説の草稿を作成。その他にも、領事館訪問など様々な任務に携わりました。日本の政治における大きな変化(民主党勝利による自民党長期政権の終焉とその後の展開)や日本経済が直面していた課題も、日本での任期中に経験しました。こうした変化や展開を常に観察し、外務省本部に報告することも、私の重要な任務のひとつです。

 

 

Rozian02―これまでの業務で一番苦労したことはなんでしょうか?またこれまでのキャリアで一番やりがいを感じたことはどんなことでしょうか。

仕事量は多いものの、大使館職員、そして特に日本の外務省によるサポートと協力のおかげで、これまで満足のいく形で任務を遂行することができています。また、関係者は皆積極的かつ協力的であるため、仕事を円滑に楽しんで進めることができており、それは良い成果になって表れています。2007年に、マレーシアと日本の外交関係樹立50周年を記念して大使館で写真展を開催した際にはたくさんの人が足を運んでくれました。2009年にも、日本写真協会と共同でワン・マレーシア(1Malaysia)写真展を大使館で開催し、注目を集めました。こうした活動を通じて日本におけるマレーシアの認知度向上に少しでも貢献できたことは、非常に有意義な経験になりました。

 

 

―マレーシアと日本の二国関係に関して、今後5年から10年の展望、また課題についてどう考えますか?

 

両国の国民がお互いの文化を理解し尊重するためには、草の根レベルでの人の交流や観光事業が非常に重要です

 

日本はこれまで、マレーシアにとっての最大の外国直接投資元のひとつであり、重要な貿易相手国でもありました。他の国々が急速に成長し、外国投資元に利点を提供している今、課題は日本企業によるマレーシアへの投資のレベルを維持することです。したがって、日本企業のマレーシアへの興味を維持することが非常に重要になります。また、マハティール・モハマド首相が1982年にルック・イースト政策を導入してから、これまで多くのマレーシア人が日本へ留学したり、日本で研修を受けたりと、有益な機会を得てきました。この側面における課題は、マレーシア人がこうしたプログラムへ参加するよう興味をひきつけること、そして日本からの援助が継続的に行われることにあります。マレーシアと日本の両国が相互利益の可能性を探ることのできる分野は様々で、そこには大きなチャンスがあると考えます。両国の国民がお互いの文化を理解し、尊重するためには草の根レベルでの人の交流や観光事業が非常に重要です。こういった活動はより一層促進されるべきだと思います。

 

 

―GRIPSで学ぶことになった経緯を教えてください。GRIPSで学んだことの中で最も重要なものは何ですか?またその経験は将来に向けてどのように役立つと思いますか?

 

GRIPSで毎日のように行われた意見交換と経験の共有、数々の知的議論は、私の記憶に深く刻まれています。

 

実は、GRIPSへの入学は前々から計画していたことではありませんでした。ブダペストとアルジェに連続して配属されたあと(1998年から2003年まで)、私は外務省の人事部にマレーシアに帰国したい旨をほのめかしていました。そんな時偶然にも、文部科学省の奨学金によってGRIPSの Young Leaders Programで学ぶ機会が提供されており、興味があるかと打診されたのです。それまでは、日本に行くことは考えたことがありませんでしたが、挑戦してみることを決め、願書を送り、面接試験を通過し、合格しました。そのあとに起こったことは、私の記憶に深く残る歴史になりました。GRIPSにおいて教授陣や各方面からの講師陣、ゲスト講演者や参加者たちと様々なトピックについて交わした知的議論はとても興味深いものでした。毎日のように意見交換や経験の共有がなされ、よりたくさんの人に会えば会うほど、より多くを学ぶことができました。

 

 

Rozian03―GRIPSでの一番の思い出は何でしょうか?また、日本を懐かしく思うことがあれば教えてください。

ここでは書ききれないほどにたくさんあります。日本の文化やマネジメントの方法を学んだGRIPSでの日々は、驚きに満ち、世界を広げてくれました。また、多くの新しい友人ができ、彼らの経験から学ぶこともありました。GRIPSで過ごした1年は仕事から離れ、外から見つめるのに貴重な時間でもあり、そういった意味でも非常に大事な経験になりました。

 

 

― マレーシアを懐かしく思うことはありますか?

恋しいと思うのはもちろん食べもので、マレーシアはいつでもどこでも、美味しいものにあふれています。これは東京も同じで、築地で真夜中や早朝に寿司を食べたのは貴重な体験です。効率が良く安全な東京での生活は私にとって素晴らしい経験になりました。日本の人々は礼儀正しくて面倒見が良く、規律もしっかりと守ります。そしてその文化は豊かで多様です。また、日本特有の四季によって、一年通して、見るもの・体験することがあることも魅力です。

 

 

Rozian04GRIPSの修了生ネットワークをより強固にするために何かご意見はありますか。

GRIPSの同窓会ネットワークは、修了生たちを繋げるために素晴らしい役割を果たしています。修了生の多くは彼らの仕事の性質上同窓会ネットワークに大きく貢献することはできないこともあるかもしれませんが、それでもほとんどの人がウェブサイト、ニュースレター、フェイスブックなどを通じてGRIPSの近況をチェックしているのではないでしょうか。できたら、定期的にGRIPSに修了生を招いて、学生に講義をするのも良いのではないかと思います。

 

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