大学案内

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『水と大地』 2019

「留学生のためのサマーセミナー『水と大地』2019」は、メタウォーター株式会社・日本工営株式会社・管清工業株式会社の協賛、及び、サントリーホールディングス株式会社の協力、東京大学(未来ビジョン研究センター、工学系研究科社会基盤学専攻、都市工学専攻)・土木学会の後援を得て、本学が主催しています。「水と大地」をテーマとしたサマーセミナーは今回で2回目となり、日本の大学院で学ぶ留学生22名と日本人学生1名が参加し、2019年8月6日から8日までの2泊3日で、現場見学と集中講義が行われました。

 

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主催者メッセージ

政策研究大学院大学

教授 家田 仁

「留学生のためのサマーセミナー」は、2014年に「新幹線」をテーマにスタートし、インフラ分野の産学トップクラスの専門家の方々、民間企業のご協力により、日本で学ぶ留学生を対象としたハイレベルのジェネラリスト教育を実施するという特長を備えたプログラムで、これまでに既に8回の実施実績をもっている。

本セミナーの基本ポリシーの一つに、「わが国が世界に誇る得る分野をセミナーのテーマとすること」がある。「水と大地」セミナーの第1回(2017年夏)では水環境インフラに関わる先端技術を、第2回(2019年夏)では津波防災もテーマに加え、このポリシーを着実に実践している。水に関わる問題は多岐にわたり、わが国の技術や知識・経験が次世代を担う基幹人材を通じて広く海外で活かされていくことが重要であるが、そのためのハイレベルな人材教育を継続発展していくには、産学官協働が欠かせず、その体制が理想的に整ってきていることを実感している。

今後も扱うテーマを広げ、運営組織面の充実を図りながらセミナーを積み重ね、持続可能社会に貢献する人的ネットワークを日本から広げていきたいと考えている。

 

参加者の声

アブデュル・ワヒッド・ファジャル・アミンさん

出身:インドネシア

政策研究大学院大学 公共政策プログラム在籍

私は、2013年にGRIPSの修士課程を修了しました。その際、日本では、中でもGRIPSにおいては、ユニークな学びの場が提供されていると実感しました。GRIPSは、トップレベルの学者や専門家を教員として擁し、公共政策における理論と実践を兼ね備えた教育を展開しています。これが決め手となって、私はGRIPSの博士課程に進むことにしました。

現在、私はインドネシアの経済発展、特に地域の発展、教育の改善、貧困の低減について研究しています。私の研究テーマは水管理政策に直接関係しているわけではありませんが、このテーマと地域開発の問題にはいくつかの関連性があることが分かりました。

農業を基盤とする地域では、経済発展していく過程で、干ばつや洪水といった自然災害への対策の他、食用作物生産のための灌漑システムの開発も喫緊の課題です。また、貧困の低減には、貧困層の生活、特に住宅や衛生設備の改善が不可欠です。私は、各国政府には、水管理の問題解決を経済政策と貧困低減政策に反映させるためにすべきことがまだたくさんあると感じています。各国政府は、主要な課題を解決する上で部分的な解決策を実施することの利点を再検討する必要があるのです。

このサマー・セミナーは、エビデンスに基づく水管理政策を、グッド・ガバナンスの実行やビック・データ管理なども含め、包括的に提供するものであり、新興国にとって有益です。静岡県における治水巨大トンネルの開発は、流域の水利用や河川流域生態系にも影響を与えるため、水管理システムを包括的に設計し、運用する必要があることを示す良い例です。

また、このセミナーで、全国をカバーする地理情報システム(GIS)を活用した下水道パイプデータベースの開発について、更にこのデータベースが日本の下水道システムの管理・運用にどのように活用されているのかを知ることができました。

様々なテーマを扱い、参加者に多様性があるこのセミナーは、開発途上国や新興国にとって、科学的根拠に基づく政策の立案・実施に関する日本の経験を共有できる場であり、今後も定期的に開催され得るものと思います。

 

協賛会社様より -「『水と大地』2019」を開催して-

管清工業株式会社 伊藤 岩雄 様

当社は、初日の8月6日に当社横浜技術センターで実施した「下水道出前授業」と「下水道展’19横浜」に出展中の当社ブースでの下水道管路管理の最新技術の紹介、翌7日にGRIPSで行われた当社代表による下水道管路管理事業についての講演を行いました。

下水道出前授業は下水道の仕組みや管理の大切さなどを海外の学生にもわかりやすく説明する企画です。昼食を取りながらクイズなどを交えリラックスした雰囲気の中で日本の下水道の実態を理解していただけたのではないかと思います。その後下水道展が行われているパシフィコ横浜に移動し、当社の展示ブースをはじめ多数の関連ブースの見学を行いました。当社ブースでは主にロボット技術を駆使した管路内作業について説明を受け、多くの質問を受けるなど大変興味を持っていただけたのではないかと思います。翌7日に行われた協賛企業トップによる特別講演では我が国の下水道の実態と現在行われている最新技術を用いた管路管理についてわかりやすく説明を行いました。講演後質問や意見などが多数出され多くの参加者の理解を得られたのではないでしょうか。

 

日本工営株式会社

技術本部長 作中 秀行 様

第二回目の「水と大地」でしたが、参加者の皆さんにも喜んで頂き、大成功でした。「水と大地」は、企画・講師陣も素晴らしい方々が揃っており、視察先も盛りだくさんで、とても充実したものです。スポンサー企業としてとても心強く思います。参加者は土木技術者ではなく、巾広い分野の各国の若者が集まりました。今回の企画で学んだことを記憶に留めて頂き、近い将来、社会に羽ばたいた際の参考にして頂ければと思います。今後、参加者の皆さんが、持続可能な社会の実現に貢献してゆくことを強く願っています。

 

メタウォーター株式会社

CSR推進室 室長  能勢 雄章 様

水・環境インフラの問題は、国・地域によって異なりますが、根幹的な違いはなく、互いに共感し合えるグローカルな問題だと思います。

留学生の皆さんには、サマーセミナーを通じて日本の水・環境インフラの実情や課題解決に向けた産官学の取り組みから何を学び、

そこで共に働く仲間たちの姿勢から何かを感じとっていただきたいと思います。

そして、将来、皆さんがそれぞれの国・地域で水・環境インフラの問題解決に貢献する人財になってくだされば、

協賛企業としてこれ以上うれしいことはありません。

 

協力会社様より -「『水と大地』2019」を開催して-

サントリー・ホールディングズ株式会社

コーポレートサステナビリティ推進本部 サステナビリティ推進部 天然水の森G

鈴木 健 様

メタウォーター株式会社様、日本工営株式会社様、管清工業株式会社様および

先生方から国内外におけるインフラや水環境・衛生に関する講義を実施していただく中、

弊社はより上流部である森林での地下水涵養について情報提供をさせていただきました。

森林の現状、課題を明らかにするための調査・研究や森林の涵養機能を高めるための方策、評価方法など、

今回ご参加いただいた学生にとっては、少し位相の異なる話題であったかと思います。

そういった中、森林機能の評価方法や地下水の持続可能な利用に関するモニタリング・保証などに

ついて質問をいただき、また次回エクスカーションの希望場所に「forest」とコメントが出るなど、

皆様の関心の深さ、広さを実感いたしました。

今回のセミナー参加者に、弊社報告が少しでも有益な観点を提供するものであったのであれば幸いです。

 

幹事長メッセージ

知花 武佳 様(東京大学、准教授)

「水と大地」は二回目の開催である.前回同様,初日は上下水道施設及び下水道展の見学、二日目は協賛会社トップからの実務に関わる話題提供と研究者による講義を行った。中でも下水道展は、協賛企業以外の多様な企業の技術にも触れる事ができる、本セミナーの特長である。参加学生はいずれのブースでも熱心に質問をし、我が国における最先端の上下水道関連技術に感銘を受けていた。

前回は、こうした上下水道の話題に加えて流域管理をテーマとし、三日目はダム、貯留浸透施設、遊水地の見学を行っている。これに対し、今回は津波防災にも焦点を当てることとした。そのため、二日目に今村文彦教授(東北大学)による講義を聴講した後、三日目は静岡県清水町と沼津市にまで赴き、柿田川の利水・環境の現状に加え、駿河湾沿岸の津波防災施設と狩野川放水路を見学した。上下水道や河川の一側面に興味を持つ学生に対し、恵みをもたらす自然が時に見せる脅威と、それに対する自助・共助・公助のバランスといったテーマに触れさせられたことには意味があった。

「水と大地」は広いテーマであるが故に、実行委員会のメンバーにとっても新しく学ぶことが多く、知見を広げる機会となっている。関連テーマはまだまだ幅広く、奥深い。引き続き、日本全国の留学生に我が国のインフラの本質を俯瞰的な視野で捉えてもらえるよう、次の企画を考えたい。

 

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