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リサーチ・プロジェクト

2019/11/1 ~ 2021/3/31

政治改革以降の政策決定過程と不均一な選挙制度の関係

研究代表者

本研究の目的は1994年以降の政策決定過程において首相の指導力に対し衆議院、参議院、地方議会の選挙制度の不均一性が及ぼす影響を明らかにすることである。本研究は、まず国会議員、地方議員、首相の政策選好に注目し、次の四つを示す。第1に参議院議員と地方議員の選好は全有権者の中央に位置する中位投票者から乖離する傾向にあること。第2に衆議院議員の選好は基本的には中位投票者の選好を反映する傾向にあること。ただ、衆議院議員が地方議員に選挙において支援される場合、その選好は中位投票者から乖離すること。第3に首相の政策志向はより中位投票者に近くなること。第4に以上の結果、首相の追求する政策と国会議員、地方議員が希求する政策の間に乖離が生まれること。

 乖離が生じる際に、本研究は、首相が関心を持つ政策を実現できるかは当該政策に対する衆議院議員、参議院議員、地方議員の持つ権限に左右されることを示す。本研究は国の政策を①衆議院議員だけで決定できる政策、②国会議員だけで決定できる政策、③国会議員に加え地方議員も権限を有する政策に分類する。首相にとって①の分野では政策の実現は容易である。しかしながら、②の分野では政策を実現することがより難しくなる。③の分野では、特に国会議員と地方議員が密接な関係を持つ場合、政策の実現が困難になり、政策を断念しなくてはならない場合も生じる。以上を示すために国内経済政策、対外経済政策、安全保障政策からいくつかの事例を選び、事例研究を行う。