GRIPS 政策研究センター Policy Research Center

客員研究員

2011/5/16 ~ 2013/3/31

中国における農村から都市への労働移動が彼らの子供の人的資本形成に与える影響

研究代表者

この研究は、中国における農村出身者の都市への移住がその子供の人的資本形成にどう影響するか包括的に実証分析することを目的とする。近年グローバル化が進み世界の成長の源泉は新興国に移りつつある。その急速な経済発展は農村から都市への労働者の大移動によって支えられているが、それが次世代を担う子供たちの人的資本形成に悪影響を及ぼしかねないという懸念がされ始めている。 農村に残される子供の多くは、衛生・管理面で充分とはいえない寄宿学校で親の愛情や世話なしに多感な幼少期を過ごす。親とともに都市へ移住する子供の多くは、都市出身でないため公共施設の利用が限定され学校にも病院にも通えない状態にある。このため移民の子供の人的資本(技術・能力・健康など)形成が遅れると、現在の子供の厚生を損なうのみならず将来の労働力形成に重大な影響を与える。というのは、先行研究で、幼少期の心身発育が生涯所得、犯罪歴、その他の長期的な成果と強く相関することが実証されているからである。 グローバル化のしわ寄せを次世代の若者におしつけることなく農村・都市間の移民を発展のために生かし続けるためには、国家や自治体による政策が必要である。これは新興国が共有し世界全体の成長にも影響する問題である。 本研究は新興国の移民政策立案のための学術的証拠を提示することを目的とする。特に、以下の二つの課題を分析することに焦点を置く。(1)農村部において、親が都市へ移住した子供と親と共に暮らす子供との間に健康状態や学業成績に差が見られるか。(2)農村出身の子供のうち、親と共に都市へ移住した子供と親と共に農村部に留まる子供との間に健康状態や学業成績に差が見られるか。