GRIPS 政策研究センター Policy Research Center

客員研究員

2012/3/28 Report No:11-30

開発援助の展望:国民の支持と日本の貢献

著者
  • 安藤 直樹政策研究大学院大学
分野 経済学
言語 日本語
要旨
バブル崩壊後に低下を続けてきた経済協力への国民の支持は、2005年以降に回復傾向に転じ、途上国との相互依存の重要性や外交手段としての価値が認知されるようになっている。東日本大震災で注目された「世界との絆」によっても、開発援助の重要性が再認識されている。
 このような最近の国民世論の支持回復にも関わらず、政府開発援助(以下、「ODA」)の予算の削減は1997年以来15年間にわたり今も続き、一般会計予算はピークだった1997年の半額以下にまで低下している。1人当たりのODA支出純額はDAC諸国の中でも最低レベルまで減少している。

 財政再建は現在の日本の最重要課題であるが、ODA予算のこれ以上の削減が正当性を持つわけではない。他のOECD/DAC諸国も財政赤字に苦しむが、ODA予算を増加させてきた。ODA予算の規模と国際社会における意義を踏まえれば、財政健全化の手段としてODA予算を削減する合理性は乏しい。またODA予算は「平和国家」という国家像を支える上で不可欠であるが、これ以上の削減をすると自ら掲げる国家像から逸脱する水準にある。ODAが将来の国益確保の重大な機会であることも踏まえれば、財政再建のためにODA予算を削減する正当性は乏しい。

添付ファイル 11-30.pdf