| 学位取得者氏名: |
林 玲子 |
| 学位名: |
博士(政策研究) |
| 授与年月日: |
平成19年6月27日 |
| 論文名: |
世界歴史人口推計の評価と都市人口を用いた推計方法に関する研究 |
| 主査: |
藤正 巖 |
| 論文審査委員: |
松谷 明彦
西野 文雄
鬼頭 宏
大山 達雄
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I.論文内容要旨
本論文では過去の世界人口を推計する数理的手法を考案した。このためにまず過去の文献より歴史人口推計の手法とその根拠になるデータの探索から始め、そのデータの信憑性の検討を行った。その結果、世界の大都市の歴史総人口データの入手が可能であり、その精度も比較的高いことを明らかにした。さらに歴史人口データと歴史都市人口データの整っている中国を対象とした分析から、十大都市の人口と総人口の間に相関があることを発見し、多くの国の集合体である地域でその関係が成り立つことを実証し、その間の関係を表す関数系を地域別に確立した。いずれの地域に関しても近代化が始まる1850〜1900年頃を境にこの関数系が異なった勾配を持つことも発見し、この結果を用い、西暦元年から2000年に至る地域と世界の歴史人口を数理的に推計した。この手法は過去から未来に至る「ひと」社会の政策・社会経済・環境的な影響を分析する道具となる。
II 審査要旨
本論文の最大の成果は、過去の世界人口推計研究が各時点で登録され、あるいは記述されたデータの集積によってある断面で静態的に記録されてきたのと異なり、時間軸に乗った人口の動的挙動により過去の人口を推計する手法を開発し、政策分析に使用可能とした点が評価される。
研究はまず1661年のRiccioliから始まり2003年のBirabenに至る一連の研究文献を収集分析し、さらに直接の人口調査で得られた中国の歴史人口データなどをはじめとする膨大な過去の人口データを西暦元年以降について取得することから始めた。
本研究者により集積された一連のデータの分析から注目したのは、(1)歴史人口データのなかで都市人口が比較的精度高く得られること、(2)順位別の都市人口の大きさと総人口の間には一定の法則があること、(3)人口登録など直接人口がわかるデータを利用して、ある地域の総人口と十大都市の人口総計の間の関係を調べると、近代化が始まる1850〜1900年頃より以前と以後のそれぞれに、良い相関係数を持つ数理式が得られること、(4)この関係式はヨーロッパやアジアといった地域毎に求めうること、の4点であった。
本研究者はこれらの分析結果を基に、過去全世界の各地域に存在した十大都市の人口データを収集し、地域毎に論理式を作成し、過去の地域別歴史人口を推計し、その集積によって歴史世界人口の推移を発表した。さらにその結果を分析し、世界人口は1850〜1900年までの定常期に数度の人口減少があり得たこと、その減少は気候上あるいは政治上の条件によること、近代化以後の都市人口の急成長は技術革新ことに交通手段の革新によること、2000年以降に資源制約を含む地球環境の影響による人口停滞期を迎える可能性があることなどの政策研究上の論点を指摘した。
本論文は過去の政策・社会経済・環境的条件により、人口の増減がどの地域でどのように起こったかを分析する基礎を与え、政策研究に過去から未来に亘るグローバルな視点を与える点でも価値がある。
なお本論文の内容の一部は比較文明学会などで報告され評価を受けており、成果は学術書籍として刊行される予定である。
以 上
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