新ODA大綱「基本理念」大野健一案、その2

2003年4月25日

原則的留意事項

 政府開発援助の実施においては、以下の諸点に留意する。

(1)政府開発援助は上位の外交目的を達成する一つの手段であり、評価もこの目的に照らして総合的に行なう。 

(2)各途上国政府との継続的な政策対話に基づき、当該国のニーズおよび我が国の基本理念にふさわしい援助内容・方法を決定する。

(3)我が国の国民・各種非政府団体の参加、および国際機関や他国の援助機関・援助団体との連携を重視する。

(4)各国の経済社会の多様性に配慮し、開発援助を通じて導入される構造物・政策・制度がその国の発展に悪影響を及ぼさないよう留意する。

(5)援助受入国の軍事支出、武器の開発・製造・輸出入の動向に十分注意を払うとともに、開発援助の軍事的用途への転用や国際紛争の助長を回避する。

(6)援助受入国の民主化、基本的人権・自由の保障の状況に十分注意を払う。

(7)援助受入国の市場経済化・対外開放努力、および開発過程における社会・環境面への配慮に十分注意を払う。

重点地域

我が国の政府開発援助の重点地域を、我が国と歴史的、地理的、政治的および経済的に密接な関係をもつ東アジアにおく。同地域は世界の中でも活力あふれる地域であり、その安定と繁栄の持続は我が国のそれにとり不可欠であるとともに、東アジアの途上国にとっても我が国は政治的・経済的にきわめて重要な国である。同地域への政府開発援助は、経済ダイナミズムの維持・促進、地域的経済連携、発展段階格差の縮小、および地域・地球規模問題への対処のために、外交・通商・文化・人的交流などの他政策と連携しながら実施する。 

同時に、東アジア以外の途上国地域に対しても、経済成長に基づく貧困削減を実現するために、我が国の基本理念と国力にふさわしい開発協力を選択的に行なっていく。

上記は、現大綱では「基本理念」に続く部分ですが、「原則」を「原則的留意事項」と言い換え、「重点事項、(1)地域」を「重点地域」と言い換えました。

原則的留意事項においては、現在の4原則を(5)〜(7)で再編成のうえ踏襲するとともに、(1)〜(4)を追加しました。現在の4原則は積極的な原則というよりネガティブチェックリストであることに鑑み、後方へ下げました。

重点地域においては、「アジア重視、他地域も行なう」点では現大綱と同じですが、アジア重視の理由と同地域への援助のあり方・目的を、ここ数年来の議論を集約する形でまとめました。他地域については、我が国の国力のみならず基本理念にふさわしい援助を「選択的に」することとしました。現大綱の「特に、LLDCへ配慮する」の一節は削除しました。

以上のように、ODA二分論の考え方は「基本理念」ではなく「重点地域」の部分で表現しました。

大野健一(GRIPS)

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